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コラム32:仲間に支えられ、今がある


コラム32:仲間に支えられ、今がある
ホームケアクリニックえん(訪問リハビリテーションえん)
作業療法士 杉田賢二さま(ELC第12回生)

 岩手県県央部に位置する北上市は、人口約93,000人から成る県内5番目の市です。今年も含め「住みよさランキング」8年連続県内1位という評価をいただいている市で、桜の名所「展勝地」や郷土芸能「鬼剣舞」は観光名物になっています。

 住みよい街と評価される当市でも、高 齢化社会の在りようは地域差があり、老年人口が40%以上を占める地域も出始めています。

 この地域において、私は作業療法士として診療所訪問リハビリテーションに従事しています。

 活動地域内のリハビリ専門職は、岩手県内中心都市である盛岡圏域に比べると非常に少なく、病院、施設、在宅の各領域ともにマンパワーが不足している現状です。地域包括ケアシステムにおけるリハビリ専門職の活用方法も、吟味されている最中です。

 私が現在の職場、ホームケアクリニックえんに入職したのは、2年前の春になります。それ以前の職場で、日々の訪問業務を個人でこなして終わることを長く続けていた私は、多職種と接する機会も少なく個人業務に埋没しがちになっていました。子供のころから育ったこの地域を、リハビリテーションの視点から住みよい街にしたい思いはずっと抱いていましたが、組織の中でその思いを形にすることがなかなかできずにいました。

 そうした時に、市医師会で主催された市民公開講座において、小澤先生の講演「人生の最後を穏やかに生きるために」を拝聴する機会を得ました。そこで一番心に残ったのが「誰かの支えになろうとする人こそ、一番、支えを必要としています」という言葉でした。

 日々悩んでいた中で、自分がやりたいことを整理し、志を立てる支えになったのは、現在の職場の方々でした。「リハビリ職としての仕事はあまりないかもしれませんが、地域づくりのために一緒に働いてくれるなら、うちに来ませんか?」と院長より暖かいお誘いをいただき、入職させていただきました。

 職場の仲間に支えられ、約2年が経過した現在は、当クリニック内だけでなく他医療機関からの依頼も含め、1日4~5件を目安に訪問リハビリテーションを行っています。訪問には時間的ゆとりを確保しつつ、地域づくりとして多職種連携、医療介護人材育成、一般市民への啓発活動などへ協力する時間も積極的に作るようにしています。

 人生の最終段階に関わる機会では、患者さんの活動、参加の一場面一場面を一つの作業と捉え、最期の時までその作業を継続できる手段や可能性を、患者さんやご家族と一緒に考えていきます。作業療法を通して関わり続ける中、患者さんやご家族と何度も会話を重ね、手段や可能性を一緒に考える過程において、患者さんの苦しみや支えになっていることをお聴きできることは少なくありません。

 たとえば、転移性骨腫瘍の診断を受けたAさんは、骨腫瘍が骨盤部や胸腰椎部に転移されており、端坐位姿勢保持も40分程度で疼痛苦痛が出現する状況でしたが、日常生活動作はほぼ自立されておりました。「痛みとの兼ね合いを図りながら運動して今の力を維持したい。」という思いに応え、介入当初、日常活動状況を伺いつつ痛みや苦痛の評価とそれを緩和する姿勢を見つけること、身の回りの動作方法の効率化、自主運動方法などを提案しました。数か月経過すると、Aさんの生活状況は坐位保持時間も次第に短くなり、身の回りのことも一つ終えては休み、また一つ終えては休む、そんな様子が多くなりました。そうした状況でも、Aさんは私が訪問することを希望されました。Aさんと関わり続ける中、「通院先の主治医先生に大きな信頼を抱いていることや、病を抱える奥様には負担をかけられないこと、大事な話は2人の娘さんたちに相談しながら決めたいこと、自分が死んだ後の扱いのこと」などを話してくださいました。


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