コラム112:コンパッションをめぐる旅~日本ホスピス・在宅ケア研究会 in 仙台と松崎町に伺って~
2023年10月、『コンパッション都市~公衆衛生と終末期ケアの融合~』著者であり、米バーモント大学臨床教授のアラン・ケレハーさんと、その実践部分を担う、イギリスのCCUK(Compassionate Communities UK)でコミュニティ形成担当理事のエマ・ホッジスさんが、日本ホスピス在宅ケ…
コラム91:ELC千葉船橋始動!最期は真心の輪の中で迎える-幸せを実感できる社会を創りたい
痛みと苦しみの中で迎えた家族の死 がん末期の家族が最期を迎えたのは、痛みの原因を調査するために検査入院した病院だった。手術後わずか3か月で痛みは起こった。がん転移による痛みとわかるのに2か月が経過し、既に歩くと激痛が襲うような状態であったが、十分な緩和ケアを受けられていなかった。 …
コラム73:いきかた〜生きかた・活きかた・逝きかた〜を支える地域であるために
あたりまえは、あたりまえではない。そのことに気がついた時には、あなたはすでに何かを失ったり、まわりで変化が起きたりしてしまっていることが多いのではないでしょうか。あたりまえがあたりまえではなくなったとき、人は大きなストレスを抱えますし、それは社会も同様です。まさしく、今のコロナ禍においては、誰しも…
コラム71:問いを立て、集い、共通の目的を持って共に動き出す
私は、大阪市北区で司法書士の業務を行いながら、ELC東大阪の一員として活動しています。 ELC東大阪は、かわべクリックの川邉正和医師、川邉綾香看護師を中心とするグループで、私は法律専門職のエンドオブライフ・ケア援助士として参加しています。 今回は、「非」医療・介護職で…
コラム69:エンドオブライフ・ケアの活動に寄せて
エンドオブライフ・ケア協会(ELC)との出会いは通勤途中に聞いていたラジオでした。エンドオブライフの研修を探していた私はさっそく調べて申し込み受講しました。 私の看護師としての経験は救急が一番長く、救急の現場では何人もの人の最期に出会ってきました。突然の心肺停止で運ばれてくる方に…
<死を前にした人にあなたは何ができますか?>
2015年7月に第1回のエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催しました。あれからもうすぐ5年を迎えます。一貫してこだわってきたことは、難しい専門用語ではなく、多くの人がわかる言葉で、何をしたら良いか、伝えることでした。 事例紹介 42歳女性のAさん。末期癌と診断され、担当医よりあ…
<始動します>
2月頃から続いていたコロナ騒動も、さすがに4ヶ月も経つと、新しい日常に変わりつつあります。この数年、毎週末は各地方で人材育成活動をしてきましたが、2月からは自粛しなくてはいけませんでした。 しかし、立ち止まるわけにはいきません。今まで以上に、それぞれの地域で苦しむ人は増えています。この3ヶ…
<20年前から変わらないこと>
今から20年前に書いたコラムを紹介します。前任のホスピス病棟で出会った患者さんから学んだことです。 「医療は治すことが目的でしょう。だから治すことができない患者は、医療の対象ではないと思うのです。あきらめるしかないのでしょうね。」 鍛冶屋の職人として生きてきたその人は、本当の病名を…
<固定観念を疑う>
みなさん、ご無沙汰しておりました。久しぶりの投稿です。 さて、今回はイベントの紹介です。テーマはずばり、「固定観念をぶちこわそう」です。 新型コロナウイルス感染拡大は、いままでの価値観を大幅に変える機会となりました。仕事のあり方、幸せとは、いのちに順番がつけられるのか…。今まであたりまえ…
ありがとう
今朝、一人の人を見送りました。つい、先日41歳の誕生日を迎えたばかりでした。その人の人生を表す言葉と言えば、[耐]とお母さんは話されていました。 最期まで笑いの絶えない家でした。 誕生日には友人達からの最高のビデオメッセージが流れました。 私はあまり訪問の様子を紹介することはほ…
<どちらを選んでも後悔するジレンマが課題です>
意思決定支援での課題の1つは、どちらを選んでも後悔することです。 心不全の悪化を認め、息苦しさを訴えている義母のこれからの療養について、このまま施設でできるかぎりの治療を行うのか、それとも入院して治療を行うのかを判断しなくてはいけない場面があります。 もし、入院したら、認知症のある義…
<たとえ思い通りにいかなかったとしても、全ての希望を失うわけではない>
2020年は、春も夏も甲子園で開催される高校野球の大会は中止となった歴史的な年となりました。 今までどれほど苦しくても、どれほどつらくても、厳しい練習に耐えてきたのは甲子園に行くためであった。そのような高校球児の夢ははかなくも消えてしまいました。 特に高校3年生にとっては、もう2度と…
<いつでも捜しているよ どっかに君の姿を…>
なぜ大切な人を失うと悲しくなるのでしょう? まもなくお迎えが近くなり、意識も薄れていく中で、私たちは本人と家族にどのように声をかけるとよいでしょうか? このような問いに、簡潔に答えることができるでしょうか? 私がこだわってきたことは、一部のエキスパートだけが行える援助ではなく、…
<さぁ立ち上がろう!そして、夢をおいかけよう!>
新型コロナウイルス感染拡大で苦しんでいる人が笑顔になれるように!とのスローガンに反対する人は、ほとんどいません。しかし、実際に何をしたら良いか、具体的に言葉にできる人は多くはありません。その壁を越えていきたいと思います。 これだけ地域に苦しむ人が増えていくということは、一方で、苦しむ人の力…
<たとえ1滴の水でも、合わされば大河となって、時代を変える力となる>
1人の力はとても小さいかもしれません。しかし、その1つ1つが合わさっていくと大きくなります。その思いを信じて、5年前からこつこつ、小さな力を各地で育てて行く活動を続けてきました。その行動を形にするため、セオリー・オブ・チェンジ・ジャパン(ToCジャパン)の田辺さんにご尽力を頂き、エンドオブライフ・…
<ここから始まりました>
今から6年前、クリニックで企画した研修が、今のELCの活動のきっかけになりました。 あれから6年、世の中は新型コロナウイルスのために大変なことになりました。でも、この時のために活動してきたように感じます。1日1日を大切に、必要としている人に届きますように。 小澤 竹俊 …
<それでも人は穏やかになれるから>
ゴールデンウィークが開けました。今日から仕事を再開される方も増えていくことでしょう。緊急事態宣言は、続いていますが、社会的な距離を取りながら、徐々に一部の生活は戻りつつあることを願っています。 しかし、新型コロナウイルス感染の影響は色濃く残っています。とても笑顔なんてなれるはずがないと思う…
<メイザフォース! マスターヨーダの介護度認定は?>
今日は5月4日(May 4th)ということで、今日はスター・ウォーズのネタです。コロナ危機のためGWを自宅で過ごしている皆さまに、妄想のツバサをつけて5月の大空を羽ばたいて頂きたく、昨年の12月に投稿して好評だったマスターヨーダの介護認定について、再び紹介したいと思います。 以下、昨年の投…
<できない自分をこれでよい(Good Enough)と認めること>
4月23日は、私にとって忘れられない日です。2年前の今日4月23日午前3時19分、ご自宅で一人の患者さんの人生最期の診察を行いました。名前は、ペンネームでNanaさんと紹介します。Nanaさんの表情は、とても穏やかでした。それは、もう苦しむことも無く、人の迷惑をかけることもなく、限られた人生であっ…
<見えないものに気づくために、私たちが気をつけること>
どのような境遇にあったとしても、私たちは現場で学び続ける事ができます。学ぶことは、何も学校に行き、教科書を読み、先生の話をノートに書くことだけではありません。社会人になっても、それぞれの現場で何かに気づき、学びを深めていくヒントは溢れています。 私は人を相手に仕事をしてきました。さまざまな…
<新型コロナ感染に対するリスク回避 こんな日が…!>
めぐみ在宅クリニックでは、リスク回避のため、クリニックのスタッフを、完全2チーム分けることとしました。これにより、万が一、濃厚接触として自宅待機となったとしても、他のチームが診療を継続することが可能となります。 スタッフだけではなく、パソコン、訪問車両、休憩室、ワーキングスペース、当直室、…
<何をしたら、苦しむ人の力になれるのでしょう>
今まであたりまえにできていた外出や、友達を一緒に食事をすることや、映画を観たりすることができなくなりました。生活のために働き稼ぐことすら自由にできなくなりました。 地域で苦しむ人が増えていきます。そして、苦しみのあまり、誰かを傷つけたり、自らを傷つけたりする人もいることでしょう。 もし、…
<オンラインで、職種を越えて学び、つながれる場>
新型コロナ感染拡大に伴い、集まって学ぶ機会が制限されました。一方で、仕事を失い、行動の自由が奪われ、さまざまな苦しみを抱える人は増え続けています。この困難な状況の中でも、苦しむ人の力になりたい人は必ずいます。その志を持った人達が、職種を越えて学び、つながれる場の1つを提供したいと企画しました。 …
<意思決定 決めた内容 誰がする>
いよいよアメリカでは、厳しい選択をしなくてはいけない時を迎えました。感染爆発(オーバーシュート)して本格的に患者さん数が増えてきます。さらに多くの重症患者さんが病院に搬送されることが予想されています。限られた医療資源、とくに人工呼吸器による治療は、希望者すべてに行き届くとは限りません。トリアージと…
<ギリギリでいつも生きていたいから…?>
東京都の小池知事の言葉「感染爆発を抑止できるギリギリの局面だ」とのこと、そして、改めて不要不急の外出を控えるなど感染を広げない行動をとるよう呼びかけています。 なかなか政府からは緊急事態宣言は出ません。経済への影響があることや、行動経済学でいう損失回避の思いも背景にあると感じています。 …
<たとえば君が傷ついてくじけそうになったときは…>
苦しいとき、人は何を思うのでしょうか? なぜ私がこんな苦しみを? どうしてこの時期に? 自分の足下だけをじっとみて、動けなくなる人は少なくありません。 中には、苦しさのあまり、誰かを批判する人もいます。 この苦しみは、誰かが原因である この悲しみは、適切な対応ができなかったからで…
<苦しくたって、悲しくたって、コートの中では平気なの>
日に日に新型コロナウイルス感染は広がっています。家にとどまり、外出を控え、感染拡大の速度を少しでも低くなるような配慮が必要です。その一方で、自由は奪われ、閉塞感は強まり、苦しんでいる人は増えていきます。 できることならば、集まって、わいわいと食べたり飲んだりしたいとこですが、その思いはぐっ…
<声を届けたくて…>
新年度を迎えました。確実な将来が見えない中、新しい一歩を踏み出すことになります。そのような中にあって皆さまにエールを送りたい思いも含めて、インタビュー動画を紹介いたします。 「医療 x デザイン」をミッションとして掲げている桑畑さんが、日本医療デザインセンターを立ち上げ、さまざまな活動を展…
コラム16:いい人生だったと人生を終(しま)うために エンドオブライフ・ケアを地域に広めたい
医療法人橘会 訪問看護ステーションたちばな 所長 丹後ゆかりさま(ELC3回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 私は大阪市東住吉区で今年設立20年を迎えた訪問看護ステーションに勤務しています。 1990年頃病院での看取りの際に言われる「全力を尽くしました…
コラム13:ディグニティセラピーとエンドオブライフ・ケア
コラム13:ディグニティセラピーとエンドオブライフ・ケア エンドオブライフ・ケア協会理事、めぐみ在宅クリニック医師 小澤 竹俊 「エンドオブライフ・ケアとは何をすることですか」と問われたら、皆さんはどのように答えるでしょう。私であれば、「人生の最終段階を迎えた、その人の“尊厳”を…
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