コラム125:ヒーローがつらい時、誰が
私は家庭医です。いわゆる「昔ながらの町医者」というやつです。赤ちゃんからお年寄りまで、産前相談から緩和ケア・看取り・グリーフケアまで。年齢やジャンルを問わず、心・体の問題を問わず対応する、プライマリ・ケアの専門医です。 何でも診るといっても、何でも解決できるわけではありません。プ…
コラム122:やっぱり「支え」があれば頑張れることを教えてくれる子ども達
私は長く小学校教員をしています。心理師でもあるので、自分の学校だけでなく地域の子ども達の相談やカウンセリング、保護者の教育相談にも多くかかわらせてもらっています。 特に近年は、不登校の児童生徒や、生きること自体に希望が持てなくなっている子ども達、困り感を抱えたまま相談できずにいる…
コラム119:消えたかったわたしがいのちの授業を伝え続ける意味
もう何度授業という名の「お話」をしただろうと、ふと考えていた。そもそも、この活動に、どうして関わり続けているのか? 振り返ると、私は、自己肯定感が低い、でもそこそこ勉強はできる複雑な心理状態をもった子供であったように思う。良い成績をとると、学校では褒めてくれる人もいる、先生もいる。でも…
コラム115:その方にとって、“自分が理解者になれた”と感じた涙の瞬間
小澤先生との出会い 介護保険が始まった翌年、2001年にケアマネージャーの資格を取得しました。 私の記憶が確かならば、小澤先生がケアマネージャー更新研修の講師という形で出会ったと認識しています。 私たちは「本当に苦しんでいる人の気持ちを理解出来るのでしょう…
コラム114:わたしを一歩前へ進めてくれた、ELCとの出会い
ELCとの出会い 私は、訪問リハビリテーションで理学療法士として働いています。ELCとの出会いは、5年前。余命1ヶ月の癌末期患者さんの担当になったことでした。「余命1ヶ月…。私に何が出来るのだろう」と思い悩み、参考書を探しに書店に行きました。そのときに、小澤先生の『死を前にした人にあなたは何…
コラム111:優しく包み込んでくれたユニバーサル・ホスピスマインド
自らの人生、悩み 現在24歳。私は、人生は常に頑張らなければならないと思い込んでいました。 小学2年生のとき、私は視力が悪く、眼鏡をかけるようになりました。当時眼鏡をかけている子は珍しく、一部の子は私に「メガネザル」とあだ名をつけてからかったりいじめたりしました。私はその時から、…
コラム108:はじめての「いのちの授業」
2023年8月27日、富士市の男女共同参画事業の一環で、「折れない心を育てるいのちの授業」認定講師の関口圭子さんが、子育て中の保護者、地域の子育て応援者、興味のある方などを対象にお話をされました。その際、娘の関口眞央さん(小学校5年生)が、講師認定後、はじめて講演をサポートされました。当日をふりか…
コラム107:いのちの授業の温かさ 苦しむことは無駄なのか
ELC、いのちの授業との遭遇 大学1年の5月、サークルのイベントの一環で『折れない心を育てる いのちの授業』と出会いました。そして、長野宏昭先生との出会いもこのときでした。いのちの授業では、3つのレッスン「苦しみから支えに気づく」「苦しむ人を前にしてわたしにできること」「自分を認め大…
コラム105:わが息子との別れが、導いてくれた学び
息子に悪性脳腫瘍(膠芽腫)が見つかったのが、高校3年生の10月。開頭手術を終え、放射線治療が終わったのがクリスマス・イブでした。 その後、地元の大学に進学し、抗がん剤や治療のための手術を繰り返しながら、すてきな友達や部活動の先輩などと充実した大学生生活を送っていました。 …
コラム102:沖縄の活動に見るワーカーズコープとの重なり:ユニバーサル・ホスピスマインドの社会実装を目指して
エンドオブライフ・ケア協会8周年記念シンポジウムで登壇された、ワーカーズコープ連合会センター事業団理事長・田中羊子さんは、「ワーカーズコープは、共に生き、共に働く社会をめざして、雇われるのではなく、自分たちで出資して、経営に責任を持ち、地域に必要な仕事をつくり出す「協同労働」という働き方を実践して…
コラム101:ハングルで伝えたい
在日朝鮮人として生まれて 私の祖父母は韓国で出生、両親は日本で出生したので、私は在日三世の朝鮮人である。学生時代から教師の道を目指していたが、家庭環境(長男、貧困)の事情もあり、高校を卒業して現在の職場である共和病院に就職した。 当初、臨床検査技師を志望したが、枠がなく事務…
コラム95:「Good enough」を届けたい
私は長女としてこの世に生を受けました。亡き母は、沢山愛してくれていましたが、とても厳しい人で、何に対しても完璧を求め、中々褒めてもらえなかった子供時代を思い出します。例えばスイミングのテストが不合格だった時、試合に負けた時、学校の成績表をもらった時、大学入試が不合格だった時・・・。悲しくて、悔しい…
コラム93:スクールカウンセラーとして、わかってくれる人になりたい
1冊の本との出会い 私は心理職、主にスクールカウンセラーをしています。保育園から小・中・高校まで様々な学校へ行きます。ある日、学校の図書室で、ふと目にとまったのが『折れない心を育てるいのちの授業』の本でした。 友人との話し方がわからない、勉強が全く理解できない、家族と仲良くし…
コラム90:いのちの授業を伝えることで私自身が教えられたこと
エンドオブライフ・ケア協会との出会い 私が製薬会社の抗癌剤グループで勤務していたころ、その時代は癌になったら病院で最期まで治療をし続け、最後の最後まで延命治療をする時代でした。 そのような延命治療について国民が疑問視し始めたころ、父親が長い間 闘病していた前立腺がんが全身骨転移と…
コラム87:カムカムエブリバディ!仲間と学び続けて<いのちの授業>を全国に届けよう!
私は2019年12月に<折れない心を育てるいのちの授業 (以下「いのちの授業」という。)>認定講師になりました。でも講師デビューをしたのは、つい最近の今年1月になってからのことです。 なぜすぐに授業をすることができなかったのか? 一つは翌年からコロナが流行り始め…
コラム86:「いのちの授業」を伝えている自分自身がいやされていく理由
私は「折れない心を育てる いのちの授業」を、小学生を中心に、たくさんの方にお話しする機会をいただいて、大阪市内、また最近ではオンラインでも活動させていただいております。 エンドオブライフ・ケア協会では、認定をいただいた講師が「折れない心を育てる いのちの授業」をそれぞれの…
コラム84:PTA・いのちの授業コーディネーター・親としての三つの視点から取り組んだこと
私はこれまで、実際に悩む中学の娘と一緒に「折れない心を育てる いのちの授業」を数回受講しました。娘は、何に悩んでいるのかもわからなくなるほどふさぎ込んでいましたが、この授業を受けるたびに、一つ一つ気持ちを伝えてくれるようになりました。 藁にもすがる思いで受けたあの日、娘は、隣にい…
コラム81:「いのちの授業」は〇〇の始まりです
「折れない心を育てる いのちの授業」は〇〇の始まりです。さて、何の始まりでしょう。 以下、私が実践した「折れない心を育てる いのちの授業」に参加くださった方からいただいたメールからの一部抜粋です(ご本人に掲載の許可をいただいています)。 "授業が終わったあとすぐ、息子は「…
コラム77:「OKプロジェクト」を共通言語に!!!
お恥ずかしいながら、当時小学2年生の娘と私は、本当に仲が悪かった。小さい時から、なぜかすぐにぶつかり合う。本当はとても愛おしい大切な存在なのに。 このぶつかり合いを何とかしたい、どうしたらいいんだろうと悩み、子育てが苦行にしか感じられない時もあった。 こんなことを思ってしまう私は、…
コラム69:エンドオブライフ・ケアの活動に寄せて
エンドオブライフ・ケア協会(ELC)との出会いは通勤途中に聞いていたラジオでした。エンドオブライフの研修を探していた私はさっそく調べて申し込み受講しました。 私の看護師としての経験は救急が一番長く、救急の現場では何人もの人の最期に出会ってきました。突然の心肺停止で運ばれてくる方に…
コラム68:報道現場に立つ私の“御守り”
それは13年前のこと。エンドオブライフ・ケア協会の設立の“種”をまく小澤先生に、私は出会いました。当時、私は30歳。報道番組のディレクターとして7年目の若手で、新聞や雑誌をめくっては、何か番組で取り上げるべきテーマはないか…と探す日々を送っていました。そんな時に目にしたのが「いのちの授業」…
<副島先生からのメッセージ>
副島先生から、皆さんへ、メッセージが届きました。 今回のテーマはは、『ふあんの受けとめ』です。 病気と闘っている子どもさんたちと向き合ってきた副島先生ならではの、あたたかなメッセージです。 不安は、自分を守るためのあたりまえの反応 “立ち向かう”だけではなく、“はなれる…
<なぜ副島先生の鼻は赤いのだろう?>
副島先生との出会いは、もう何年になるのでしょうか。テレビドラマの主役になるような雲の上の人でした。ある医療とメディアとの学習会の懇親会の席で、サシでお酒を飲みながら話を伺ったときに感じたことは、その熱量は、半端ない(他人のことを言える立場ではないのですが…)ということでした。 これほど苦し…
<相手からみて心を開いてくれる私たちでいるでしょうか?>
緊急事態宣言が延長され、仕事を再開できず、経済への影響が心配されています。特に家賃や学費など、支払うことができていた人達が、今までのあたりまえを維持できるかぎりぎりの状況となっています。政府も必死に救済の手を差しのばそうとしていますが、届くまでには時間もかかります。 恐れていることは、人は…
<本当の幸せは、身近なところにある>
昨日はFB投稿できませんでした。というのも愛犬が低血糖発作で意識低下、けいれん発作などから、一時期危篤状態となりました(もともと持病がありまして…)。ということで、一日、お休みを頂きました。深夜帯ではありましたが、ブドウ糖をシリンジで何度が飲ませ、何とか事なきを得ましたが、これからも何があるかわか…
<苦しむ人の力になろうとする全ての人へ>
前回、私はアリとキリギリスの話を紹介しました。少しだけ補足をさせてください。 一般的にイソップのアリとキリギリスの逸話は、「働かざる者食うべからず」という教訓として紹介されます。働いていたアリに対して、遊んでいたキリギリスが、やがて冬になって食糧難になって困る話です。ですから、「…
<経験を積むあまり 大切な感性を失うなかれ>
何事も経験は大切です。はじめからうまくいく人はほとんどいません。料理を作ることも、楽器を演奏することも、人前で話をすることも、最初は失敗することが多々あります。うまくいかなくて、取り組んだことを止めてしまう人もいるでしょう。それでも根気よく続けていくと、だんだんと上達していきます。 …
<できない自分をこれでよい(Good Enough)と認めること>
4月23日は、私にとって忘れられない日です。2年前の今日4月23日午前3時19分、ご自宅で一人の患者さんの人生最期の診察を行いました。名前は、ペンネームでNanaさんと紹介します。Nanaさんの表情は、とても穏やかでした。それは、もう苦しむことも無く、人の迷惑をかけることもなく、限られた人生であっ…
<目に見えない伴走者に気づいていますか?>
新型コロナウイルス感染拡大が本格的になってきました。目に見えない敵と向き合うということは、精神的なストレスは、数倍増します。普段の生活の中で、自分が感染するのではないか、あるいは、自分が他の人にうつしてしまうのではないか。何気ない生活にあって、最善を尽くしても、決して100点を取れるとは限りません…
時間は過去に戻らない
新型コロナウイルス感染は、いよいよ全世界に広がりをみせ、現場は混乱しています。外出禁止令が発令され、自由に集まることができません。人の往来が自由にできなくなりました。今まであたりまえであった風景が一変し、まさに非日常に世界であり、これは有事です。 そのような中、今できることは何か…
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