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コラム33:言葉を研究する  ~教育効果を一緒に確かめませんか?~


コラム33:言葉を研究する  ~教育効果を一緒に確かめませんか?~
北里大学医学部医学教育研究部門 助教 千葉宏毅さま

 私は、もともと何でも興味がある性格でいろいろなことをかじってきました。それゆえ人から専門は何ですかという質問をされると、どう答えたらよいか悩むことが多々あります。研究をもって人や社会の役に立ちたいという思いは小さい時から持っており、その道を志し現在に至っています。はじめは健康や運動領域の社会科学的な研究を専門とするつもりでしたので、医療や介護、ましてやエンドオブライフ・ケアに関して研究をすることは考えてもいませんでした。転機は在宅医療専門のクリニックに研究員として就職したところからでした。院内の申し送りやカンファレンスで挙がる話題の多くは、患者さん・ご家族とのコミュニケーションに関するものでした。私が臨床における「言葉」の重要性を強く感じるようになったのは、この頃からでした。そして自分が研究で貢献すべき方向は、在宅医療・介護の世界だと意識が変わっていったのを今でも覚えています。ケアを提供する専門職が、患者さん・ご家族にどんな言葉を用いるか、何を説明するかによって、療養生活の質そのものや、意思決定に影響を与えることになると強く感じたのです。そのような経緯で私の研究のフォーカスは、臨床場面の「言葉」そして「コミュニケーション」となったのです。

 エンドオブライフ・ケアや在宅医療・介護に関する研究でも、コミュニケーションの重要性を指摘する国内外の論文はたくさんあります。しかしそのような研究の多くは、インタビューやアンケートを用いて遡及的に得られたデータを解析する研究が大半ではないでしょうか。それは患者さんへ向けられた言葉を扱った研究ではありません。私は実臨床の場面の「発話」に焦点を当て、前向きに研究をする必要があると考えてこれまで研究を行ってきました。そのような中、小澤先生と出会い、そしてエンドオブライフ・ケア協会との出会いがありました。小澤先生はまさに【援助を言葉】にした診療と、そのエッセンスを用いた教育を行っていました。さらに私が共感したのは、研修の効果をエビデンスとして示すことの重要性に言及されていた点でした。これまで実施されてきた様々な専門職対象の研修会は、(乱暴な表現で言うと)「やってやりっぱなし」がほとんどです。参加者の満足感も重要ですが、さらにどのような効果があるか(例えば患者さん・ご家族の不安が軽減したなど)については、改めて確認するものは少ないでしょう。

 私は現在、協会の理解と協力を得て、本協会の研修効果をできるだけ客観的に検証する研究を行っています。教育的に有意な効果の確認、もしくは不足部分があればその課題の明確化によって、研修をさらに改善していくことは非常に重要だと思います。

 私は、患者さんのケアに直接関わることはできませんが、研究を通し現場で活用できる「根拠」を示していくことが、私の役割と思っています。もしこのコラムを読まれた方の中で、本研究へご協力頂ける方、少し興味があるという方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡を頂ければ幸いです。

 


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