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コラム34:『穏やかな最期を迎えて頂ける援助』 ~小さな希望を形にしていくお手伝い~


コラム34:『穏やかな最期を迎えて頂ける援助』 ~小さな希望を形にしていくお手伝い~

医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック
管理栄養士 安田 和代さま(ELC第15回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター

 

 私は、岐阜県の南部に位置する岐南町にあります、総合在宅医療クリニックに勤務する管理栄養士です。

 当クリニックは月に約210名の患者様の診療を行っており、年間約100名以上の患者様をご自宅でお看取りをする在宅専門のクリニックです。私は管理栄養士として、在宅の患者様のお宅を訪問し、それぞれの病態・状態にあったお食事ができているか、ご家族はお食事のことで困っておられないかの相談を行っております。昨年(H28年)は120名の患者様に関わり、そのうち実際に保険制度を使って訪問を行った患者様が79名です。

 病院に勤務していた頃は、患者様の状態が悪くなり絶食の指示がでると、患者様との関わりが無くなることがほとんどでした。在宅でも制度の上ではお食事をされている患者様が管理栄養士の訪問の対象です。ただ最期まで「食べること」を大切にされているご本人やご家族を支援することは重要な仕事であり、昨年は12名の方の最期まで関わり続けることができました。

 それぞれにいろいろな関わり方の形がありました。時には患者様・ご家族の辛い思い、行き場のない苦しみ、深い悲しみに直面し、どのような言葉をかけてよいのか迷い、悩み、私自身の苦しみになることもありました。そうした中で、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を知り、受講を希望しました。受講後は、ご本人やご家族の心の動きや、ふとしたつぶやきに対してより敏感になったような気がします。

 ターミナル期においては、患者様自身が食べられないことに苦しみ、ご家族は食べさせられないことに悩み苦しまれるケースがよくあります。そんなときに主治医から「何を食べてもいいですよ、いつ食べてもいいですよ、好きなものでいいですよ」と指示が出ます。以前はそうすることで、好きなものを食べることができて、それが在宅らしさだと思っていました。けれども実際には「よかった、気が楽になれました」とホッとされるご家族もあれば、「もう何を食べてもムダってことなのね」と悲しまれるケースもあることに気づきました。まだまだ治療を頑張りたいと思っているご本人・ご家族にとっては「何を食べてもいいですよ」という言葉は、見放された感として伝わることがあるのです。そうした苦しみもなかなか主治医には伝えることができず、私にぽつりとおっしゃったりされます。こうした言葉を聞き逃さないようにして寄り添うことが、私にできる大切な仕事だと感じています。

 また訪問をする際には「先生に何かお伝えしておくことはありますか?」とお聞きするようにしています。食事のことに限らず、病気への不安、介護への疲弊感、処方された薬への疑問、いろいろな思いをうかがいます。家族で旅行へ行きたいと思いながら、言い出せなかったとお聞きしたケースもあります。主治医には言えない。主治医を頼り、嫌われたくないから「こんなことを先生に話したら失礼だから…」と遠慮されているのを感じます。気軽に思いを語れる存在として私を使っていただき、心の荷物を軽くして頂けたら、わずかながらも苦しみに寄り添う支援を行うことができるのではないかと思います。そして患者様・ご家族の「小さな希望」を形にしていくお手伝いができたら、穏やかな最期を迎えて頂ける援助につながると信じています。


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