シニアライフ研究所 りあもでんな 代表
岡 久美子さま
(ELC第31回生・38回生 ELCオーガナイザー ELC東海事務局、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)
私とエンドオブライフ・ケアそして小澤竹俊先生との出逢いは、2017年7月29-30日に名古屋で開催された援助者養成基礎講座が最初であった。にもかかわらずその日のうちに「この地域のファシリテーターや講座修了者の拠り所となる事務局を担当します」と名乗りを挙げたのである。
それは講座内容から受けた感銘と、この地域には活動をする人々を受け止める事務局がないことへの驚きから生まれたひらめきであったが、この感銘には二つの前提条件が存在していた。
その一つは1997年から継続している医療の事前指定書(Advance Directive)を普及する市民活動「LMD研究会」(Let Me Decide)だ。カナダのマクマスター大学老人病研究所長ウイリアム・モーロイ博士が1985年に提唱され、日本には1993年に社会医療研究所の岡田玲一郎氏が紹介し、研究会を発足し全国に支部ができている。東海地方でもLMD研究会東海支部が発足、現在まで毎年4回学習会等を行っており、この2月には第88回を無事開催した。
当初は「終末期医療についての指定なんて縁起でもない」とか、「医療の事前指定?LMDって何?」とか言われた。しかし今は、厚生労働省から『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』(2007年)が提出され、後景には医療費の削減も見えるが、昨年末には「アドバンス・ケア・プランニング」の普及へ議論が開始された。これを受けてこの3月14日には『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』に名称変更した改訂版が提出された。病院における延命治療だけでなく在宅医療・介護の現場でも活用できるように見直しを実施したためである(下線筆者)。
LMD研究会の基本理念は、「あくまでも自己決定」「患者の権利を守る」ことである。これまでの普及活動は市民および医療・福祉従事者や施設への導入という一定の成果を果たしたが、今後は書き記した自己決定をいかに実現するか、その支援をどうするかが問われるのではないかと私は考え始めている。
二つ目は教え子たちの葛藤である。私は日本福祉大学社会福祉学科地域福祉コースにおいて、非常勤講師ではあるが演習を担当している。2年間学生によっては3年間ゼミ生として共に学んだ卒業生の中には、障害者や高齢者の支援施設に就職する者がいる。電話やメールでその悩みを聞いていると、過酷な労働環境とともに「看取り」の体験が心身を蝕んでいることが判ってきた。
これら二つの前提条件となる課題を抱えた私は、知人からエンドオブライフ・ケアと小澤竹俊先生に関する情報を得、協会のホームページに行きつき、受講生となったのである。新参者の申し出を小澤先生と事務局は快く受け止め、会場の参加者に呼びかけてもくださった。手持ちの名刺を希望者に配り、メールを送信していただき会員を募った。
第1回学習会はじめの一歩の会(2017年9月6日土)では、久保田千代美先生(ELC近畿)をお招きし、鈴木裕美ファシリテーターとともに、講座の復習とELC東海の名称やいくつかの約束事をとり決めた。会員はELCに共感する人とし,広く門戸を開き、すそ野を広げる役割も果たす。
第2回は、訪問看護ステーション立ち上げを担当するので情報を得たいとの会員の要望から、「訪問看護ステーションの現場から」(2017年12月12日火)とした。鈴木裕美・宮下善美ファシリテーターの体験談と質疑応答は、立ち上げ条件の差異も踏まえた参加者への具体的なアドバイスとなった。
2018年1月27-28日には、名古屋市で開催された援助者養成基礎講座において、小澤先生からの呼びかけもあり、ELC東海会員は増え現在72名となっている。
第3回学習会(2018年3月3日土)は講座の復習および事例報告と懇親会を開催した。どの会も参加者の想いを共有できる大切な時間となっている。
東海エリアは愛知・岐阜・三重と広い、今後は地域ごとの学習会も企画、3月には西尾市と四日市市で開催される。エンドオブライフ・ケアに共感し、ELC東海に興味を持たれたあなた、よかったらelctokai@gmail.comにご連絡ください、仲間になりましょう!
エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。
© End-of-Life Care Association of Japan