コラム58:0歳も100歳も 誰一人孤立しない地域づくり
2019.08.27
地域互助力向上ネットワーク 0-100(ぜろひゃく)地域の輪
代表 中島 直子さま
私は北海道生まれの父と九州生まれの母に生を受け神奈川県相模原市で生まれ育ちました。こもれびの森という森林が近くにあり、成人するまでの様々な思い出と共にその風景も思い出されます。両親の活動の関係で暮らしは赤ちゃんから高齢者までが定期的に集い、地域が家族のような環境で育ちました。
高校1年の冬、1年半の闘病の末、父が亡くなりました。その2か月前には父方の祖母、半年後には祖父が相次いで亡くなり、この時期の経験は、「死への暗い概念」「後悔」としてその後の人生に深く根を下ろし続けました。
現在私は人口12万の佐賀県唐津市に住んでいます。子育てと並行し乳幼児音楽教室を開き10年。地域のたくさんの母親と出会いました。その中で「ママ(私)が笑えば子も笑う」を痛感します。日本の子育てと家事の多くを担っているのは多くの場合まだまだ母親です。十分な睡眠や休養が取れないまま子育てしている母親が大勢いる。どこまでやっても「十分よくやっている」と評価されにくい母たちが、どうしたら自己肯定感を保ち子どもたちに向き合えるか、ずっと考え続けました。その頃、身近に「反復」してくれるお医者さんがいました。胃腸科の先生で、私はお腹の調子が悪い時に行くので全然元気ではないのですが、関係のない仕事の話で「反復」されて、「聴いてもらった」ことにとても安堵したことを覚えています。このお医者さんがきっかけで小澤先生の活動を知りました。いちばんはじめに読んだのは小澤先生の著書「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」です。
高校一年の時に経験した家族の死以来ずっと抱えていた、誰に話しても分からないだろうと思う深い後悔や、間違いなく自分も暗い病院で苦しみ死んでいくという未来予想図からほんの少し解放された出会いでした。いのちの誕生、母親の支援だけにエネルギーを向けてきた生き方から、地域の0歳から100歳までをひとつの輪でようやく描くことができ、誰も孤立することのない地域を願って活動する「地域互助力向上ネットワーク 0-100地域の輪」が生まれました。地域学習会であるエンドオブライフケア糸島唐津の皆さんのおかげで、医療従事者ではない私も一般向けの学習会に参加させていただき、地域のひとりとして関われる分野があることを繰り返し学べています。8月には「いのちの授業講師トレーニング」に参加しました。地域の担い手である子どもたちに未来を託す前に、子どもたちの心の声に耳を傾け、苦しみに気づける人でありたいと思います。そのために「聴く」ことがこのいのちの授業の大きな意義だと考えます。
「孤立」と聴いて皆さんはどんな人を思い浮かべるでしょうか?地域には赤ちゃんから高齢者まで様々な世代が暮らしています。健康状況も経済状況も置かれた状況は様々。一人一人が置かれている現場で、すでに関わる人たちが自信を持って関わり続けること、無関心な人たちが少しでも知る機会を得て「関心」に変わること、孤立している人が確かな「支え」を感じるときに、今度は誰かの孤立に気づき支える可能性を感じながら...
小澤先生の夢を、私も一緒に仲間のひとりとして追いかけています。
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