コラム62:地域ケア会議で事例検討

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コラム62:地域ケア会議で事例検討
橋北在宅介護支援センター 看護師 鈴木 裕美さま
(ELC第14回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター)

現在、四日市市内にある在宅介護支援センターに勤務しています。四日市市は人口31万人。私が勤務する橋北地区は、万古焼を産業として栄えた地域ですが、工場の閉鎖とともに人口が減少し、街の中心部でありながら高齢化率が高い地域です。四日市市の高齢化率が25.6%に対し、橋北地区は31.8%です(2019年10月1日現在)。

 2005年4月からの介護保険制度の見直しで地域包括支援センターが設置されましたが、四日市市は各地区の在宅介護支援センターを市の委託事業として継続していますので、地域包括支援センターのブランチとして一番地域住民に近い相談窓口として活動しています。

 事業の1つとして地域ケア会議を開催しますが、今までは、社協、地域包括支援センター、民生委員と介護支援専員との要介護、要支援者の情報交換を行っていました。

 しかし、今年度は、事例検討から地域課題を発掘したいと考え、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座で行う事例検討の様式を使用し、検討を行いました。

 

 85歳女性アルツハイマー型認知症のOさん。被害妄想が強いため近隣との関係も不良です。Oさんは、独身で美容室を経営していました。多くの見習いを育成し、得意な料理をふるまい、いつも大勢で食事をしていたそうです。しかし、最近は訪問者があるともの取られ妄想が出現するため、ケアマネージャーと担当の民生委員以外の人は訪問できないという解決困難な課題があります。

 事例検討の前に、「苦しみとは何か?」、「苦しみは解決できることと、解決できないことにわけて考える」、「解決できない苦しみがありながら本人が穏やかになれる条件(=支え)」についてレクチャーをしてから開始しました。社交ダンスの写真や手作りの手芸品も飾ってあるので、ダンス、手芸、料理を支えと考え、それらをきっかけとして何とか地域で関わり続けられる方法はないかと検討を行いました。

 民生委員児童委員+市社会福祉協議会、地域包括支援センターのメンバが2グループ、介護支援専門員4グループで検討を進めていき、Oさんのお店が「行列のできる店になったらいいね」「昔のように見習い美容師がいたら得意な料理を作ることができるね」など和気あいあいと楽しい雰囲気の中で予想もしないたくさんの提案や夢が模造紙に張られていきました。事例検討をしたことで、Oさんにダンスを指導していた民生委員がいることもわかりました。現在は、実現可能なものをケアマネージャーと一緒に取り組んでいます。

 地域に住まう、医療や介護を職業としない方でも事例検討ができることを確認できました。ぜひ、地域ケア会議の事例検討で ELCの様式を活用してください。盛り上がること間違いなしです。

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

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