エンドオブライフ・ケア協会
小澤 竹俊
新型コロナウイルス感染の影響は甚大です。その思いを一言で言えば“不条理”です。
この不条理な社会をあなたはどう生きますか?
誰かを批判しても不条理な現実を変えることはできません。
因果応報という言葉があります。過去や前世の行いに応じて現在の状況が生ずることを意味する言葉です。しかし、良い行いをしていた人が、よくない負の出来事で苦しむことがあります。今まで真面目に仕事をしてきた人が、突然の新型コロナウイルス感染の影響から、大きな負債を抱えてしまうことがあります。
なぜ、必死に準備をしてきたのに中止しなくてはいけないの?
どうして、真面目に仕事をしてきたのに仕事がなくなるの?
なぜ、来年ではなく、今なのだろうか?
どうして、私がこんな目にあわなくてはいけないの?
私の気持ち、誰にもわかってもらえない。
どれほど泣いても時間は過去に戻りません。どれほど悔やんでも失ったものは戻ってきません。とても因果応報なんて思えない人もいます。この不条理な現実を前にして絶望を味わう人も少なくないでしょう。
私は永年ホスピス医として、人生の最終段階で悩み苦しむ人と家族の支援にあたってきました。そこでの経験から言えることは、たとえあなたが人生に絶望したとしても、人生はあなたには絶望しないということです。
人生は、たとえ不条理に見えたとしても、希望の光を見出す可能性があります。なぜならば、人はまもなく死を迎えることがわかっていたとしても、穏やかさを取り戻すことがあるからです。
信じられますか?あと1-2ヶ月で自分がこの世からいなくなるとわかっていたとしても、家族や友人と笑顔で過ごす人達がいるのです。たとえ、仕事を失い、家事ができなくなり、やがて一人でお風呂もトイレにも行くことができなくなったとしても、穏やかな日々を送る人達がいるのです。それは、一部の人達が起こす奇跡ではありません。私たち全員が持つ可能性です。
たとえ、どんなに不条理な社会であったとしても、私たち一人ひとりが笑顔で過ごせ、そして、同じように苦しんでいる誰かのために優しくなれますように、その一助になれることを願っています。
エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。
© End-of-Life Care Association of Japan