<何をしたら、苦しむ人の力になれるのでしょう>

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 今まであたりまえにできていた外出や、友達を一緒に食事をすることや、映画を観たりすることができなくなりました。生活のために働き稼ぐことすら自由にできなくなりました。
地域で苦しむ人が増えていきます。そして、苦しみのあまり、誰かを傷つけたり、自らを傷つけたりする人もいることでしょう。

 もし、目の前に苦しむ人がいたら、私たちは何ができるのでしょう。

医学的な専門知識が必要なのでしょうか。介護に関する技術を身につけていないといけないのでしょうか。

 このような問いを、在宅医療で、人が亡くなっていく現場でいつも問い続けてきました。そして、私は一人でも、苦しむ人に関われる担い手が増えることを夢見て、人材育成の活動に力を注いできました。

 今日は、皆さまに問題を提供します。
問題1 地域包括ケアシステムとして、多職種連携で人生の最後まで関わることが求められています。しかし、死を前にした人に、関わることが苦手と感じている人は少なくありません。死を前にした人がいたならば、私たちに何が出来るのか、次の文章で間違っているものはどれか1つ選びなさい。

(a) 病気を通して、健康なときには気づかなかった大切なことが見えて来ることがある。

(b) 多職種チームの共通する目標として、その人の顔の表情を大切にし、たとえ死を前にしても穏やかな可能性を探る。

(c) 穏やかだと思える理由は人によって異なるので、こちらの世界観で一方的に決めつけずに、一人の人間としてその人の生き方を尊重しながら穏やかになれる条件を探る。

(d) 一般的に、穏やかになれる条件として、痛みがないこと、希望の場所で過ごせること、家族に迷惑をかけないことなどがある。

(e)死を前にした人の援助を行うためには、専門的な知識と技術がなければ関わる事ができない。

皆さまは、答えはわかったでしょうか?
正解は下段に解説つきで紹介しました。

 エンドオブライフ・ケア協会の2日間研修(エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座)で伝えて来た内容を、医学書院からテキストとして2017年8月に出版した拙著:死を前にした人にあなたは何ができますか?を出版しました。ここで紹介している内容をもとに、「何をしたら、苦しむ人の力になれるのでしょう?」という問いに対する答えを学ぶ取り組みを企画しています。

 これからの時代、苦しむ人が増える一方で、苦しむ人の力になりたいと願う人も増えていきます。その人たちに、何をしたら良いのか、わかりすい共通の言葉で、まねしやすく、魅力的な内容で、紹介していきたいと願っています。

 近い将来、エンドオブライフ・ケア協会のHPにて、このプロジェクトを公開する予定です。ご期待ください。


MOON PRIDE
あなたの 力になりたい
(MOON PRIDE:ももいろクローバーZ)
今日はアニソンです。加藤先生、演歌ではなくて、ごめんなさい

今日も良い1日でありますように。

以下、先ほどの解答と解説です。

解答:(e)
解説:地域包括ケアシステムは、超高齢少子化多死時代において、医療・介護をつなぐ大切なケアシステムです。顔が見える関係作りやITcなどを利用した情報共有などが広がりました。しかし、要介護状態になっても人生最後まで住み慣れた地域で過ごすためには、看取りにまで誠実に関わり続けることができる担い手が必要です。できていたことが1つ1つできなくなっていく苦しみを抱えた人と誠実に関わることができるためには、医学・介護の専門的な知識だけではなく、苦しむ人と関わる基本的な援助の基本を学ぶ必要があります

選択肢考察
○(a)苦しむ前には気づかないことを、病気やケガを通して学ぶことがあります。
○(b) 多職種チームの目標は、専門家の意見を聞くことではありません。苦しみを抱えた本人と家族が穏やかな顔になれることを目標にすると、職種を越えて自分に何ができるのか、援助を言葉にすることができます。
○(c) 人によって、穏やかになれる理由は異なります。援助する立場の価値観を押しつけることは、援助にはなりません。
○(d) 正答肢
×(e)死を前にした人の援助は、専門的な知識と技術だけではありません。苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる誰かいるだけで、表情は変わっていきます。

熊本地震から4年が経ちました。厳しい時代ではありますが復興をお祈りしています。

 

小澤 竹俊

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

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