苦しみを素直に打ち明けられる誰かはいますか?

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エンドオブライフ・ケア協会

小澤 竹俊

 新学期が始まりましたが、首都圏の学校を中心に、全国で休校が続いています。さらには、外出制限などから、自由に外で友達と遊ぶことができません。いろいろなフラストレーションがたまると、兄弟げんかや、家庭内での暴力など、不安定になる子どもたちもいることでしょう。あるいは、親御さんが、仕事の不安などから、子どもに大きな声を出してしまう人もいるでしょう。

 

 新型コロナウイルス感染は、さまざまな形で生活に深刻な影響を与え続けています。

 

 いつまで待てば良いのでしょう。感染拡大が続く現状を考えると、少なくとも数週間という単位ではなく、数ヶ月の単位で考えなくてはいけないことでしょう。

 

 この不条理で、理不尽な苦しみが蔓延する社会にあって、私たちは何ができるのでしょう?

 

 もちろん、感染拡大を防ぐ方策をとることは言うまでもありません。しかし、ただ耐えて忍ぶだけではなく、私たちにできることを探りたいと思うのです。

 

 その1つの可能性は、わかってくれる誰かの存在です。

 

 人は一人ではちっぽけで、弱い存在です。しかし、たとえ苦しくて、絶望の真っ暗闇の中であったとしても、もし、たった1人、自分の苦しみをわかってくれる誰かが現れたら、きっと小さな希望の光を見出すことができるでしょう。

 

 直接会うことができなかったとしても、電話でもよいでしょう。手紙でも良いでしょう。もちろん、オンラインでも…。相手を気づかい、そして、わかってくれる誰かとのつながりは、これからの時代、とても大切な私たちの生き方になります。

 

 皆さんには、わかってくれる人はいますか?

 そして、皆さんは、わかってくれる人になれていますか?

 

 苦しんでいる人は、誰にでも苦しみを打ち明けるのではありません。わかってくれない人には、心は開きません。

 

 どんな人に資格があったとしても、わかってくれる人でなければ、心を閉ざしたままです。どんなに時間をかけて、何かを説明し、説得されたとしても、気持ちは落ち込んだままです。

 

 苦しんでいた人が、穏やかになれるのは、わかってくれる人、つまり、ここでは聴いてくれる誰かの存在が欠かせません。

 

 こんな苦しい時代だからこそ、ホスピス・緩和ケアで学んで来た1つ1つが、大切な教訓として活きてきます。その役割を担うためにも、1日1日を大切にしていきたいと思います。

 

 皆さま、今日も良い1日でありますように。

 


15の僕には 誰にも話せない 悩みの種があるのです
未来の自分に 宛てて書く手紙なら
きっと素直に 打ち明けられるだろう

手紙~拝啓15の君へ~:アンジェラ・アキ

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