毎回、堅い話が続いていたので、たまには、柔らかい話をしたいと思います。暦の上では新学期が始まりました。私が若かりし頃、慈恵医大の進学課程2年生の時の話です(なんとまだ19歳!)。
当時は、学生会と硬式野球部と疫学研究会(農村で健康診断や家庭訪問を行うクラブ)に所属していました。
この時期の課題といえば、新入生獲得の一言につきます。一学年120人に対して、クラブ数は30もあります。人気のサッカー部やテニス部は、営業しなくても人は集まります。一方、地味で何をしているのか名前ではわからない疫学研究会に、人は集まる訳がありません。どうしたら志のある新入生が集まるのであろうか?と苦心しました。
人もお金も限られる中で考えたのはマーケティングの考えでした。新入生120人に一律に声をかけるよりも、120人いれば、夏休みなどに、医療過疎地に赴き、医療活動をOBの医師達と行うことで、良医に近づけることを学ぼうと考える、ちょっと変わった医学生が全体の4%(5人)はいるかもしれない。その5人を、新聞部やESSやオーケストラなどに奪われないように、発掘し、声をかけよう。
そのような意識で、あまりお酒の席での勧誘ではなく、まじめに活動報告や、この活動の魅力を地道に行った結果、私が2年生のとき、新入生が8人来て頂いたことを思い出します。
さて同じ思いを持ちながら、新コロナ時代の春に、新入生歓迎の活動を始めたいと考えています。とはいえ、講演会も集合研修も行えない状況です。どうしたら人は感心を寄せてくれるのでしょうか?
そこで考えたのが、ご当地検定の企画です。エンドオブライフ・ケアに関わる内容理解を検定として学び、合格をすれば検定合格を出すというシステムです。
エンドオブライフ・ケアといっても、非常に広い範囲ですが、ここでは、こだわって人生の最終段階で遭遇する次の言葉を取り上げたいと思います。
「なんで私が死ななければいけないの?」
「どうしてこんな病気になってしまったの」
「もう孫の成長を見守ることができない」
「家族に迷惑をかけるならば、はやくお迎えがこないか」
この言葉を前にして、私たちが苦しみを抱えた人とどのように向き合い、関わる事ができるのかを、専門用語ではなく、関わるみんなのわかる言葉で、他の誰かに伝えることができることを紹介したいと思います。
これからは新型コロナ感染拡大で、不特定多数の苦しむ人が爆発的に増えていく時代です。そして、その苦しむ人の力になりたいと志す人も増えていくことも予想しています。そのような時代に、苦しむ人への援助の方策は、もっと必要とされていくと強く感じています。
すでに検定試験は作成がすすみ、まもなくご紹介できると思います。その中で、試験作成委員のメンバーから、スピンアウトとして、次の問題を頂きました。
問い 次の文章で、苦しみを抱えながらも、穏やかである場面を、オリジナルの曲名とともに挙げよ
(1)デートの相手が時計を見ると泣きそうな気持ちになる。
(2)ガムを踏んづけても、好きな人に会いに行くときは、怒らない。
(3)二人の関係は縦の糸と横の糸で表されるようなものである。
(4)苦しくても悲しくてもコートの中では平気である。
(5)自分の人生は自分が決めていくことが大切であり、それが最高である。
ちなみにエンドオブライフ・ケア協会の検定は、医学書院の「死を前にした人にあなたは何ができますか?」から出題します。ちなみに上記の問いは含まれておりません。もし、よろしければ、是非ご参加ください。詳細は後日。
小澤 竹俊
・
エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。
© End-of-Life Care Association of Japan