<防災タイムラインの必要性:  なぜコロナと巡り会うのか、私たちは何も知らない  いつコロナと巡り会うのか、私たちはいつも知らない>

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2020.03.29

 新型コロナウイルス感染は、いよいよ医療・介護施設での集団感染のステージに入ってきました。病院や介護施設は、脆弱な高齢者や重症化しやすい基礎疾患を持った人が集まる場所であるため、ここでクラスター形成は、健常な人達が集まる会場でのクラスター形成とはニュースの意味が異なります。

 今は人混みをさけ、なるべく感染が広がるスピードを落とすこと、もし体調が悪ければ外出を避け、自宅で安静にすることが大切です。しかし、私たちに今できることはもっとあります。それは、避けることができない最悪の事態に備えて防災タイムラインを、それぞれの地域で作成することです。

 防災タイムラインとは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です。防災行動計画とも言います。

 大型台風を例に挙げるとわかりやすいかと思います。3日前に台風が発生した情報を元に、予想進路によると直撃する危険性が高いなどから防災タイムラインにそって準備を始めます。台風上陸の可能性(台風上陸3日前)、災害発生の危険性(台風上陸1日前)、台風接近(台風上陸12時間前)、台風上陸(0時間)という時間系列(縦軸)を想定します。それに対して、国土交通省、交通サービス、市町村、住民という立場で、何を準備すると良いのかを決めておきます。

 このように時間系列に沿って、自分たちが準備することがわかれば、それに従って動けば、災害は最小限に食い止めることができます。

 台風のように時間系列がわかりやすい事象はよいのですが、これが新型コロナウイルス感染となると、少しややこしくなります。それでも、私たちが住む町の一人一人が、たとえオーバーシュートと言われる爆発的感染拡大となり、近隣の病院の医療が十分に機能を果たせなくなったとしても、持てる資源を最大限に利用して、支え合って行く仕組みを準備することは、私たちにできることです。

 地域包括ケアシステムは、介護保険という枠組みで動いていました。しかし、今回は防災という視点で動かなければいけません。医療と介護・福祉という視点ではカバーできないからです。感染予防だけの視点ではなく、0歳から100歳まで、生活を営んでいる地域が、この困難とどのように向き合い、支え合って行くのかを防災対策の視点で準備をしておく必要があると考えるのです。

 タイムライン(防災行動計画)は、国土交通省が計画するものです。その具体的行動においては、小回りのきく各中学校単位のサイズ感で、それぞれの地域が考えていく必要があります。それぞれの地域でリソースが異なるからです。防災の視点を中心に、すでに地域包括ケアシステムで構築された顔がみえる関係を加えることができれば、話は早いかと思います。オンラインでのサービスを加えれば、地域にリソースがなくても、ネット上で相談できるコミュニティーを作ることは可能性があります。

できれば、その中に、エンドオブライフ・ケア協会が大切にしてきた、対人援助のマインド(苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい)が加味されることも期待しています。

 時系列としては、沖縄中部病院の高山先生が示された3つのステージが参考になります。

1.地域での発生を認めていない状況
2.地域での発生を認めており、患者への入院勧告が行われている状況
3.地域での流行が発生しており、患者への入院勧告が行われない状況(地域において新型コロナウイルス感染症が流行しており、確定患者に対する入院措置が行われなくなった状況。この段階では、入所者の感染が確認されたとしても、軽症であれば入院とはならず、施設において療養継続となる可能性があります。また、すべての疑われる患者に対しては PCR 検査が実施されなくなることも考えられます。)

 想定する問題として
・コロナ感染に伴う発熱や息切れに対する診療を、診療にあたる医療者を守りながらどのように継続できるのか(オンラインによる診療の拡充)
・経済的に厳しくなり、衣食住において困窮をした人に対する支援のあり方(最悪、暴動・略奪がおきます)
・地域で孤立している人達への支援のあり方(見守る人が感染しない工夫も必要であり、このあたりもオンラインの技術が活かされるかと思われます)
・必要な物資の調達(医療品・薬剤・生活用品)
・教育現場への配慮(オンラインで学ぶ+α)
・親の介護や子育てしている人への配慮
・治安維持
 他にも、問題は多々あることでしょう。

 これらの問題を、それぞれの時系列で、誰がどのように、何を準備し、防災として行動計画に立案し、周知して、行動に移せるのかなど、それぞれの市町村みんなで話し合っていく必要があります。

なぜコロナと巡り会うのか、私たちは何も知らない
いつコロナと巡り会うのか、私たちはいつも知らない

縦の糸は、行政と各種職能団体(医師会や企業・商工会や学校など)
横の糸は、防災ネットワークと縦割り行政の垣根を越える各種民間団体

織りなす糸は、地域で苦しむ誰かを
暖めうるかもしれません

 ELCの受講生で、三重県南部の地域医療に従事し、防災に明るい森本先生から、今回の防災タイムラインのアイディアを教えて頂きました。そして、日本に防災タイムラインを導入された松尾先生のインタビュー記事から、少し抜粋します。

今からできることがあります。指をくわえて誰かが助けてくれるのを待つだけではなく、今から各地域で準備できる防災タイムライン作成についての議論が進むことを期待します。

以下、引用です。

松尾 一郎 氏 CeMI環境・防災研究所 副所長

この「タイムライン」というのは、小学校の時の時間表をイメージしてみてください。縦に1時限目から6時限目まであります。横に曜日があります。分かりやすく言うと、縦の時限のところが台風が発生して直撃するまでの時間軸、時間割になります。横軸の曜日のところが国であったり、気象台であったり、自主防災組織であったり、住民であったり、誰がやるかということを示しています。その中に入っていくのが、行うべき防災行動になります。5日前に何をするか、3日前に何をするか、台風が直撃する前日には安全な所に避難しようというように、いつ誰が何をというのを、あらかじめ決めておくことです。この時間表を作っておき、時間表に従って、来る台風に臨機応変に対応していくのがタイムラインです。気象庁が「南の方で熱帯低気圧から台風になった」というのを発表し、その台風が関東を直撃するのが分かった段階で、本来は行動が取れるわけです。私たちは昔は雨戸に板を打ち付けたりして、風が強くなくても自宅が被災しないように、いろいろな対策をしていました。それを思い出してください。2日前にしたこと、前日にしたこと、当日にすることを再確認していただければ、減災に役立つと思います。ただ、必ずしも想定した災害のシナリオ通りにものが進むわけではないので、その対応には臨機応変さも必要です。

この「タイムライン」ですが、一番その効果が大きいのは、これを作るための過程です。この策定に関しては、災害対応に当たる組織、人々が集まって、車座になって「どういう災害が起こるか」というリスクを皆で共有し、「そのリスクから被害の軽減を図るために何が必要か」「どういう行動が必要か」を皆で出し合って、「それは誰がやるのか」「いつ誰が何をするか」を時間表的にまとめていくのが「タイムライン」です。それをやることによって何が変わるかというと、日ごろ一堂に集まることがない消防団、民生委員、学校関係者が集まって議論する場ができ、災害が大きくなればなるほど、いろいろな人が関わることになりますので、事前に集まることで顔の見える関係ができること、これが非常に大きな成果です。それに加えて「タイムライン」を、あらかじめ「行動計画表」として策定しておくことによって、チェックリストにもなりますし、抜け落ちがなくなります。災害に対して何を対応すべきかを、あらかじめ決めておくことができるのは、取り組みの効果として非常に大きなところだと思います。

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Theory of Change

セオリー・オブ・チェンジ