キャンサーペアレンツの西口洋平さんが5月8日に旅立たれました。35歳でステージ4のがんと診断される中、つながることで前向きに、声なき声を届け、生きやすい社会を実現したいと考え、キャンサーペアレンツを立ち上げました。2016年に、社会起業塾に応募されたとき、私もエンドオブライフ・ケア協会のメンバーとして同じ会場、同じテーブルで、お互いの夢を語り合っていました。
あれから4年、キャンサーペアレンツは3600人を越える登録者へと発展し、西口さんが実現したいと夢見ていた社会が現実のものに近づきました。そして、これからも仲間達が、西口さんの志を継いでいくことでしょう。
西口さんに出会った社会起業塾の集まりで、ソシオ・マネジメント編集発行人の川北秀人さんから熱いレクチャーを受けました。そして、彼の編集した雑誌から、活動におけるヒントをたくさん頂きました。川北さんの言葉を紹介します。
・あなたは「社会を変えたい」のか、それとも「社会に良さそうなことをしたい」だけなのか?
・私たちを待つ人は、どこに、どれだけいるのか?
・その人々にいつ、どのように届けるのか?
・私たちは、それを刻んだ上で、今日の活動をはじめ、終えているのか?
そして、5原則が紹介されています。
・ニーズの代理人として、収益を再投資し続ける
・最大ではなく、最適を目指す
・一歩先の視野を持ち、半歩先の事業を提供しつづける
・顧客を分類し、最適な価値を提供して、ビジネスモデルを確立する
・消費者ではなく「市民」を育てて、活動ではなく「しくみ」をつくる
そのために、市民の共感、市民の参加・参画、変革の実現の重要性が説かれています。
どんな困難な状況でも、西口さんは、いつも笑顔でした。どれほど絶望的な状況でも、つねに明るく、彼が発する言葉は、多くの人の心を動かしていきました。そして、素晴らしい組織と仕組みを作られました。
私も、同じテーブルで夢を語った1人として、「社会に良さそうなことをしたい」のではなく、「社会を真剣に変えてみたい」と思います。
新型コロナウイルス感染拡大の影響はきわめて甚大です。身体的にも経済的にも、そして、精神的な負担も大きくなりました。苦しみのあまり誰かを、そして自らを傷つけようとする人もいることでしょう。
苦しむ人の多さを考えると、一部のエキスパートだけでは、対応は困難です。きわめて限られた時間で、どれだけ担い手を増やすことができるのか、きわめて厳しい道を進まないといけません。
それでも、この困難な中でも、希望の光を見出し、たとえ絶望と思える状況でも、人は笑顔になれると信じて、仲間とともに、仕組みを作ってみたいと思います。
西口さん、天国から見守っていてください。
♫
限られた時の中で、
どれだけのことができるのだろう
ずっと閉じ込めていた
胸の痛みを消してくれた
今 私が笑えるのは
一緒に泣いてくれたキミがいたから
1人じゃないから
キミが私を守るから
強くなれる 何も怖くないよ
(STORY:AI)
写真は、2019年4月、NHK日曜討論でご一緒させて頂いた時のものです。
小澤 竹俊
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