コラム69:エンドオブライフ・ケアの活動に寄せて
2020.08.12
コラム69:エンドオブライフ・ケアの活動に寄せて
フリーランスナース 野口直美さま
(ELC第3回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)
エンドオブライフ・ケア協会(ELC)との出会いは通勤途中に聞いていたラジオでした。エンドオブライフの研修を探していた私はさっそく調べて申し込み受講しました。私の看護師としての経験は救急が一番長く、救急の現場では何人もの人の最期に出会ってきました。突然の心肺停止で運ばれてくる方に行う蘇生術、動揺する家族、最後は自宅ではなく警察へ搬送されるケースも。その時いつも感じていたことは、この方は本当にこんな最期を望んでいたのだろうか?どうすれば穏やかな最期を迎えることができるのだろうか?という事でした。
「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」ELCの柱であるこの言葉を実感した出来事は、すい臓がんの末期のある60代女性と出会った時でした。独居で積極的な治療を一切断っていた彼女が救急車で運ばれてきた時「私はもういつお迎えがきてもいいの」と言われました。私はベッドサイドで自分の思いを語る彼女の話をただただ聞いていました。ただ聞く事しかできなかったのです。翌日病棟にいる彼女を訪ねた時、「昨夜は話を聞いてくれてありがとうね、うれしかったわ」と言ってくださいました。何もできなかった、そう思っていた私に「あなたは疲れているのに夜中私の話を聞いてくれたじゃないの。それだけで十分」そう言ってくださったのです。そしてその翌日その方は旅立ちました。私はこの経験から多忙な救急の現場での短い時間でも、反復、沈黙の手法で誰かの支えになることができる、そう感じました。
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