意思決定支援での課題の1つは、どちらを選んでも後悔することです。
心不全の悪化を認め、息苦しさを訴えている義母のこれからの療養について、このまま施設でできるかぎりの治療を行うのか、それとも入院して治療を行うのかを判断しなくてはいけない場面があります。
もし、入院したら、認知症のある義母は必ず点滴を抜こうとするので、手足だけではなく、体もベッドに縛られてしまう。トイレに1人で行こうとして、大きな声を出すので、家族が付き添わないといけないことは、前回の入院で明らかである。もう、あんな苦しい入院生活は希望しない。
一方で、施設での心不全治療では、入院と同じ医療を受けることができず、命を落としてしまうかもしれない。
本人が明晰な判断ができれば良いのですが、認知症などから、意思決定の代理人である人が判断をしなくてはいけません。
この場合、どちらの選択肢を選んでも、選んだ人が後悔します。意思決定支援の課題は、このジレンマに対して、どれだけ誠実に関わる事ができるのかが問われます。
正しい情報を提供すれば、正しい判断ができるとは限りません。特にいのちに関わる選択肢を選ぶ人は、自分の判断が、これで良かったのかと、その後もずっと重たく問い続け、後悔し続けることがあるからです。
後悔が少なくなるためには、意思決定支援のプロセスにおいて、1人で決めない、専門家の言いなりにならない、1回で決めない、みんなで悩みながら、話し合い、相談していくプロセスが欠かせません。
ただ、大切なことは、どのように話し合うかです。わかってくれる人として、選ぶ人の苦しみを、援助的コミュニケーションを用いて聴くことができなければ、説明だけで終わってしまうことでしょう。
日本医療デザインの桑畑さんとの対談の第5弾です。今回はACPを取り上げて頂きました。
Youtubeで日本医療デザインで視聴できます。
https://youtu.be/G539iNeUCkI
今日も良い一日でありますように
#コロナ4Cチャレンジ
小澤 竹俊
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