<死を前にした人にあなたは何ができますか?>

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 2015年7月に第1回のエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催しました。あれからもうすぐ5年を迎えます。一貫してこだわってきたことは、難しい専門用語ではなく、多くの人がわかる言葉で、何をしたら良いか、伝えることでした。

事例紹介
 42歳女性のAさん。末期癌と診断され、担当医よりあと2-3ヶ月と伝えられました。すでに積極的な治療は困難な状況です。Aさんは、自宅で家族と過ごしたい希望があります。ご主人と9歳、7歳の娘さん、息子さん達です。

 自宅に戻るにあたり、医療、介護のチームに加え、Aさんの中学・高校の友人達が、在宅療養の手伝いをしたいと希望されました。ある日、その仲間が一同に集まり、作戦会議を開くことになりました。

 集まった人達は、決して医療を専門とする人達ではありません。また、介護を専門とする人達でもありません。そのような不特定多数の善意ある人達を前に、これから何を目標にAさんとその家族に関わると良いのか、わかりやすい言葉で伝えることが課題です。

 いろいろな考え方はあるでしょう。ただ、言えることは、どれほど最善を尽くしても、病気は進行し、歩くことができていたAさんは、やがて歩くことができる距離は短くなります。つまり、外出も難しくなり、やがて家の中も自由に歩けなくなり、そして家事ができなく、お風呂に1人で入ることもできず、ついにはお手洗いに1人で行くことが難しくなります。

 この状況で、関わる私たちは何をしたらよいか、援助を言葉にすることができるでしょうか?

 限られたいのちと向き合うとき、こだわってきたことは、顔の表情です。つまり、何があると、本人と家族は穏やかな表情になれるのだろうか?という意識を持つことです。

一般的ですが…
・痛みがないこと
・希望する場所で療養すること
・そばに、安心できる家族がいて、信頼できる医療・介護の人達がいて、わかりあえる友人がいること
・誰かの役にたてること
・たとえ1つ1つできなくなったとしても、尊厳が守られること
・こだわってきた何かを、信頼できる誰かにゆだねること
・わかってくれる誰かとのつながりを感じることができること
・死を越えた将来の夢を持つことができること(天国から見守ることができる…など)

 もっとたくさん挙げることができますが、このような意識を持つだけで、何をすると良いのかが見えるだけではなく、言葉にし、チームで共有し、そして具体的に1人ひとりが関わることができるようになります。

ただ1つだけ、注意点があります。
 苦しんでいる人は、誰にでも心は開かないということです。
 どれほど専門の資格を持っていたとしても、一方的な説明をしたり、どれほど親しくても、励ましだけで関わったりする人には、距離を置くことでしょう。

 苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい

 この対人援助の基本を押さえないと、たとえ温かな気持ちを持っていたとしても、その思いは空回りになることでしょう。

 寄り添うことは大切です。しかし、一方的な思いだけであれば、悪いたとえをするならば、あおり運転と同じ事になってしまいます。

 そのような思いを心に秘めて、この5年間、担い手を育てる活動を続けてきました。しかし、今年の2月からは、中断を余儀なくされていました。しかし7月からは、いよいよ始動します。

 立ち止まるわけにはいきません。このテーマを学びたい人に届けるために、仲間とともに動き出します。そして、自分には手の届かないところで苦しむ誰かのために、誠実に関われる担い手を支援していきたいと強く願っています。

お時間がある方、是非!

7月7日(火)午後6時30分~午後8時30分
7月25日(土)26日(日)それぞれ午後1時から午後5時 
オンラインによるエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座
8月以降も順次計画しています。

詳細は、エンドオブライフ・ケア協会のHPにて
https://endoflifecare.or.jp/programs/

 

今日も良い一日でありますように
#コロナ4Cチャレンジ
#エンドオブライフ・ケア協会

小澤 竹俊

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

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