コラム71:問いを立て、集い、共通の目的を持って共に動き出す

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2020.10.23

コラム71:問いを立て、集い、共通の目的を持って共に動き出す

司法書士 福村雄一さま
(ELC第72回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士)

 私は、大阪市北区で司法書士の業務を行いながら、ELC東大阪の一員として活動しています。
 ELC東大阪は、かわべクリックの川邉正和医師、川邉綾香看護師を中心とするグループで、私は法律専門職のエンドオブライフ・ケア援助士として参加しています。
 今回は、「非」医療・介護職である私が、人生の最終段階にある方の支えとなることが出来た事例をご紹介します。

 その方は、わが子として一緒に暮らしている「犬」を自分が亡くなった後に誰かに引き取って欲しいという願いを持っておられ、かわべクリックのお二人にその希望を打ち明けられました。この願いを叶えることは、残された時間が短いその方が穏やかな気持ちで過ごすための条件であることに違いがありませんでした。

 患者さんから委ねられた願いを叶えるにはどうすればよいか?
 かわべクリックのお二人が思い浮かべたのが法律専門職の私でした。

 医療に関する知識は私の「不得意」分野です。
 身内以外で人生の最終段階を迎えている方と接するのは「非日常的」な経験です。正直に言って怖さがあります。(後日誤解だったと判明するのですが、当時の私は、自分が最初に患者さんが亡くなっているのを発見した場合、第一発見者として警察の聴取を受けてしまう、という不安を持っていました。)
 ですが、患者さんに残された時間はあとわずかです。
 かわべクリックのお二人も他の患者さんを訪問する予定があり、日程調整をしている時間もありませんでした。
 そこで、私が単独で患者さんのお宅を訪問することになりました。


 訪問する少し前に、自宅の外観、キーボックスの場所、キーボックスの暗証番号、患者さんが療養している場所、といった必要情報が携帯メールに送られてきました。
 実際お宅にうかがうと、メールに届いたそのままの外観、そのままのキーボックスがあり、暗証番号を合わせるとキーボックスが開いて目の前には玄関の鍵が・・・。玄関の鍵を開ける瞬間も緊張は続いていました。
 「この鍵で玄関が開くんだよな。。」
 「うぅ。やっぱり開いた。」
 不安と緊張が最高潮になりました。普段にはない感覚です。
 ただ、ここまで来て引き返すわけにもいきません。
 深呼吸をして・・・思い切って「お邪魔します。こんにちは。司法書士の福村です。」と呼びかけました。
 「どうぞ~。」と小さいながらもハッキリした返答があった時を境に少しずつ私は冷静さを取り戻すことが出来ていました。
 ここから自分の持ち場に意識をスイッチしました。
 私は、相続や遺言、成年後見といった業務を普段の業務としています。お金や不動産のこと、家族関係といったことを深掘りしていくのは、私の「得意分野」です。
 むしろ、これらを深掘りしないと適切な手続を行うことが出来ないため、躊躇なく聞いていくことが出来ます。
 残された時間の中で、私は、患者さんの委ねたい願いを聞き取り、出来ること・出来ないことを選別し、形にしました。

 「ありがとうございました。これで安心です。」
 患者さんのやさしい笑顔を私は今でもハッキリと覚えています。

 患者さんに対して選ぶことが出来る自由を提供できた結果、苦しみを取ることができたのだと考えています。
 この経験を通して私がみなさんにお伝えしたいことは次のことです。

 「ぜひ共に繋ぐ存在になりましょう。」 
 患者さんの生活を「両親尊き保て役割ゆだねようかな」、という9つの視点で見たとき、それぞれの視点を得意分野とする職種は医療、介護職に限られません。「得意分野」を持った者同士が共に繋ぐ存在になることが出来れば、患者さんが穏やかになれる機会は増えていきます。
 患者さんを中心にした目標管理を共通言語にして、職種や年齢を問わず、関わる人たち皆で共に進みましょう。
 そうすることで、地域包括ケアシステムは、医療関係者のモデルから生活者のモデルにアップデート出来ると考えています。
 そこへの一歩として、私は、医療と介護に関する学びを深める一方で、仲間に対して法律に関する情報を提供していきます。
 そして、企業や学生などの若い世代が集う場所を作り、皆が共通の目的を持って課題解決に向けて動き出す流れを作っていきたいと思います。

 全国各地のELCの皆さんと新しい当たり前を創っていくのが私のテーマです。

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いいたします。

Theory of Change

セオリー・オブ・チェンジ