コラム72:エンドオブライフ・ケア協会様へのプロボノ活動を通じて学んだこと

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日立グループ企業プロボノプロジェクト“ちょこプロ”メンバー

横山 領さま、久我 知也さま、内田 英樹さま、岡崎 七美さま、鈴木 隆之さま

日立グループ企業プロボノプロジェクトとは

 日立グループでは、日立グループ・ビジョンの実現こそCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)と位置づけ、持続可能な社会を実現すべく、本業を生かした社会課題の解決を目指しています。その一環として、認定NPO法人サービスグラント様との協働のもと、2016年度にこのプロジェクトをスタートしました。

 

 プロボノとは、ビジネスパーソンが本業のスキル・知見を活かして、非営利組織が抱える課題を解決するボランティアの新しいスタイルです。今回は、社員数名がチームを組み、エンドオブライフ・ケア協会の抱える課題を約2ヵ月間で解決するという比較的短期の活動でした。

 

 今回のエンドオブライフ・ケア協会様のプロジェクトでは、受講者が医療・介護現場等で学びを実践するにあたり、

「どのようなことが有効であったのか」

「どのような課題があるのか」

を見える化するために活動しました。

 

 その過程で、数名の方々への個別ヒアリングや、全体アンケートなどを実施させていただきました。ご協力いただいた皆さま、ご多忙の中誠にありがとうございました。

 

 私は当初、「看取りやエンドオブライフ・ケアに関するコミュニケーション方法は、そのタイミングにおいて大切ではあるものの、自分とは少し距離が遠いものだろう」と考えていました。しかし、ミーティングでの小澤先生からのお話の中で、

 

「これから高齢化と人口減少が進んでいく中で人口構成が変わり、公助にも期待が出来ずこれまでのエコシステムは壊れてしまう。地域のエコシステムを壊さないためには、地域での担い手を育て、地域でのコミュニティを維持することが必要だと考えています。援助の担い手は人生の最後だけでなく、介護や子育てをしながら働くビジネスパーソンなどあらゆる場面にもレジリエンスを強める文化を育てるのが理想的です。」というお言葉を伺い、視野が広がりました。

 

 私たちのチームにも、親の介護と仕事の両立、育児休暇明けとコロナ禍による慣れない働き方、家族関係の不和など、様々な状況のメンバーがいます。

 

 ELC援助者養成基礎講座に参加させていただいた際には、不登校状態の子どもへ両親がどのように関わるかといったケースが紹介されており、「こんな場面にも活かせるんだ」と見入りました。

 

 またワークでは、ファシリテーターの方々のご支援のもと、「反復・沈黙・問いかけ」といった援助的コミュニケーションのロールプレイングも体験したのですが、自分の仕事についても振り返ることがありました。

 

 私の営業職の仕事においても、お客様が言いづらい困りごとを抱えている時に、相手から見て「わかってくれる人」になる聴き方が役立つと感じました。

 

 ビジネスシーンでは「会議で3秒以上沈黙を作るな」と言われることがありますが、数字や合理性だけでは進められない様々な課題があります。その際に、「この人になら話してみよう」と思っていただければ、お互いを信頼して仕事に取り組むことが出来るようになります。また、リモートワークが今後も日常的に取り入れられ、対面コミュニケーションの機会が減り、相談したいことがあっても言いづらい状況にもなりつつあります。その中では、仲間が苦しみや言いづらい悩みを抱えていないかといった目を向けていくことが重要です。ELC援助者養成基礎講座で学ぶ考え方は、上記のようなビジネスパーソンの社内外の活動でも活きてくると感じました。

 このように、医療介護従事者の方々など専門家が出来れば良いというわけではなく、私たちのような、仕事で医療に携わらない層であっても、周囲で人生の最終段階を迎えた人や、その他の要因で苦しんでいる人に対して、支えになろうと向き合うことが大事であることを学びました。それこそがエンドオブライフ・ケア協会様がビジョンで掲げられている「地域で暮らす子供からお年寄りまで、誰も取り残されない共生社会」にも繋がっていくのだと思います。


 今回の経験をもとに、将来的に祖父母や両親などを看取る場面で実践していくのはもちろんのこと、自分の所属するコミュニティで苦しみを抱えている人がいないか目を向け、その人の支えとなっていけるような関わり方をしていこうと思いました。

 

日立グループ企業プロボノプロジェクト“ちょこプロ” 横山領

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