佐世保市山澄地域包括支援センター 介護支援専門員
園田康訓さま
(ELC長崎第1回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てる いのちの授業認定講師)
私が初めて学習会に参加したのは、2019年の夏、長崎県で当時から活動していたELC(エンドオブライフ・ケア)波佐見による学習会でした。
基礎職が福祉職の私は、もともと看取りに苦手意識があり、「自分の知識でわからないことを質問されたらなんて答えよう」「間違ったこと回答して医療職から怒られたらどうしよう」そんな風に思っていました。
市内の地域包括支援センターに勤務している一ノ瀬さんからの誘いもあり、ELC波佐見の学習会に参加、そこで相手のためのコミュニケーションってこんなことだと痛感しました。そして思ったことがありました。「これだったら自分にも出来る!」そんな思いを抱いたのを今でも昨日のことのように覚えています。
その後、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座に参加。続いて、ファシリテーター候補者として再度参加。そして、現場では、これまでどこかで逃げていた、人生の最終段階のケースにも沢山出会いました。
昨年の夏、オンラインでELC波佐見の学習会がありました。私が勤務する佐世保市山澄地域包括支援センターは全員参加しました。そして受講した職員からは、「目からウロコだった」「もっと勉強したい」などの声が聞かれました。
地域包括=予防(医療や介護等を必要とする状態になることを予防する)というイメージがあるからか、それまでは、私が養成講座や学習会を周りに勧めるも、なかなか理解を得られない状況でした。しかし、身近なスタッフが受講してくれて、その全員が役に立ったと思ってくれたことで、看取りや終末期に関わる人だけに必要なことではなく、人に関わる全ての人に必要なことなんだと実感しました。
今年の1月、波佐見の中村さんに講師を依頼し、長崎のELCメンバーにも協力してもらい、3箇所の地域包括支援センターの共催にて、最初の学習会(援助的コミュニケーション:反復・沈黙)を実施しました。
参加者はケアマネジャー、看護師、介護職など様々な職種で約50名。学習会の最後には、模擬事例をもとに、実際に反復・沈黙・問いかけを行うデモンストレーションを、患者役・竹田さん、援助者役・中村さんに行ってもらい、参加者全員に見ていただきました。あまりの女優ぶりに参加者の中に涙を流される方も多数いました。
そして、今年の4月に学習会にて「援助的コミュニケーション:問いかけ編」を行いました。
地域包括支援センター3箇所で行った成果をお土産に、他の地域包括支援センターにも共催しないか持ちかけ、5箇所の地域包括支援センターが協働で実施することになりました。90名程度の参加がありました。
90名の参加は、ELCメンバーとしては「凄いよね〜」「やっぱり次はマクロ(事例検討)のワークをやりたいね」などなど、振り返ってみると大変だったという感想より、やる自分たちが一番楽しんでいたと思いますし、打ち合わせや学習会を重ねる中で、一番学びになっているのはELCファシリテーターのメンバーではないかなと思っています。
年一度の多職種連携勉強会にて、ELCファシリテーターのメンバー一ノ瀬さんから、「マクロのワークをやってみたい」との話があり、実際に取り上げることになりました。
WEBでの受講としたときに、一人1台のパソコンが難しいこと、スプレッドシート等のツールの使用が難しいことなどなど、環境面での課題が多く、マクロのワークは厳しいのではないかとも思いました。まずはともあれやってみよう。でも、長崎のELCファシリテーターのうち、現在活動しているのは、波佐見・長崎・佐世保・佐々の9名でしたので、どう頑張っても9グループが精一杯じゃないか?シート等をどうしよう?などと課題がありました。
ここで思いついたのが、事前に研修をして、当日のグループワークのファシリテーターを養成しよう、そして、その養成したファシリテーターをELCファシリテーターがサポートしよう。シートは最もアナログな手書き+写真の送信という方法で実施することにしました。ファシリテーターには約40名の有志が、そして当日はなんと161名の参加がありました。
主催側からも、これは定期的に開催してはどうかなどの意見があり、また、参加者からも、今後も定期的に開催して欲しいなどの意見が聞かれています。
ELCメンバーの自分達が楽しんで、自分達が一番学びになりました。アウトプットする大切さを感じました。出来る時に出来るだけ協力する。そんな緩やかにも、強いつながりがあるチーム長崎、今は私達の支えでもあるように思っています。
大事なことは、自分が苦しむ人への援助に向き合うこと、そしてまずは一番身近な事業所内に仲間を増やすこと、ここまで来たら、後は少しずつ地域全体に広がっていくんじゃないかなと感じました。
2年前、小さなタンポポの綿帽子を中村さんにフーっと吹いてもらって、今は自分が綿帽子を吹く方に回れたかなと少しだけ実感しています。これからも、みんなで出来る時に出来るだけ頑張っていきます。
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