コラム86:「いのちの授業」を伝えている自分自身がいやされていく理由

  • 原点
  • わかってくれる人がいるとうれしい
  • いのちの授業
  • 対話

ハート介護サービス東住吉 所長 訪問介護士 

津野采子さま

(ELC第9回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)

 私は「折れない心を育てる いのちの授業」を、小学生を中心に、たくさんの方にお話しする機会をいただいて、大阪市内、また最近ではオンラインでも活動させていただいております。

 

 エンドオブライフ・ケア協会では、認定をいただいた講師が「折れない心を育てる いのちの授業」をそれぞれの場所で伝えていけるように、年に4回、オンラインで講師トレーニングを開催しています。

 

 先日、その講師トレーニングで、私自身がなぜ講師となったのか、そしてなぜ学び続けているのか、少し自己紹介を交えてお話させていただきました。

 

 私は不妊治療をしても子供が長年出来なかったのですが、思わぬ妊娠をし、離婚して、親に勘当されて、見知らぬ土地に隠れ一人で産んだので、誰かと子育ての感動を分かち合うこともできず、表現するならば、まるで暗いトンネルの中にいたというような時期がありました。子供は成長したものの、お友達とのトラブルが絶えず、小学校、中学校と義務教育でありながら、登校停止をさせられたり、一部辛い学生生活を送ることになってしまいました。息子は、学習障害のない非定型発達の診断を受けています。

 

 そんななかで、エンドオブライフ・ケア協会と出会い、久保田先生や小澤先生、千田さんが温かく息子を迎えてくださったことで、私たち親子はなんともいえない安心感に包まれたのです。

 

 エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座に初めて参加するとき、子供が小さかったため、会場に連れて行ったり、小澤先生や、白山先生、久保田先生の講演があると一緒に聴きに行ったりしました。子供を一人の人間として扱い、問いかけ、話を丁寧に聴いてくれ、わかってくれる、そんな大人が沢山いたことが、息子の大きな安心感になったし、講演の内容そのものも、私や息子の自己肯定感・自尊感情につながったように感じています。

 

 息子は、変わりました。なにより、ガミガミ怒る私が変わったことも、息子が変わった大きな要因です。例を1つ挙げると、私はかつて、ゲームばかりしていた息子から、携帯やゲーム機を取り上げたり、制限をしたりしていたのですが、すべて解禁して、息子本人に正しいと思うことをしてよいと信じて任せることができるようになりました。そうすると、息子は自分で考えて行動するようになっていきました。それも先生方の教えがあってこそのことでした。

 

 人は誰かに認められることで、自分はそこにいていい、と自尊感情が芽生えるのだと思いました。

 

 何かとコロナコロナと自粛や我慢をさせられている子供たち。それを心配し、自分のことのように心を砕いている先生がた。あっけらかんと今を生きている子供もいるし、声に出せず悩んでいる子供もいる。コロナが子供たちにとって大きな負担となって、声にならない見えない部分が、恐怖心を掻き立てる。

 

 そんな中、私に何ができるかっていうことを考える。

 

 そう、何か特別なことができなくても、そこに居させてもらうこと。そう学んだはず。皆さんからいただいた安心感や自尊感情もある。だから伝えたい。そう思いながら活動をしています。

 

 人は、誰か、何かから愛されたり、愛した記憶が、今は思い出せなくても、どこか奥底にあるのだなって思うのです。

 

 自分のことを認めてくれる、他の誰か(何か)の存在。

 

 愛された記憶があれば、そして認めてくれる他の誰か(何か)の存在があれば、どんなことがあっても生きていける気がしています。

 

 「折れない心を育てる いのちの授業」は、私たち親子にとって、なくてはならないものです。それは、講師となって活動する今も、そして、当時も、必要なものだったと、お話ししながらふりかえりつつ、感じています。このことはきっと、10年後も、同じように話しながら、大切な温かいものをなにかしら感じるのかもしれません。

 

 皆さんも一緒に講師として活動していきませんか。

 

 

 

 

 

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

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