コラム104:苦しくて悲しい。けれど、その向こうに明るい静けさを見ていたい。いつも一緒に。

  • 家族
  • わかってくれる人がいるとうれしい
  • 介護

小野永保子さま

(第122回生)

 去年、山口県にあるサービス付き高齢者向け住宅「おげんきハグニティ」内の父の部屋に泊まって、看取りをしました。親子だからこそ理解し合うことの難しさもあり、看取りも簡単なことではありませんでした。

 私の気持ちが揺れることは何度もありましたが、スタッフの皆さんのおかげで、父と過ごせる温かくて優しい日常、楽しさや笑いのある最後の日々がありました。想像もしていなかった穏やかで幸せな毎日でした。

 東京で同居している高齢のお義母さんとの日常でも、もっと早くに、家族みんなで、穏やかなコミュニケーションができたら、どんなにいいだろう。そう思っていた時「おげんきハグニティ」の岡原先生に「エンドオブライフ・ケア協会」のことを伺って、すぐにこちらの講座(援助者養成基礎講座)を受けることにしました。  

 

 講座で「相手を完全に理解することはできないけれど、相手の人が、自分自身をわかってくれた、と思ってもらえるような援助をする」という言葉に、目から鱗でした。
 
 学び始めてしばらくすると、お義母さんが自分の病気を悲観して話すのを、聴くのが辛かった私自身が、お義母さんの話を怖がらずに聴けるように変わっていきました。

 

 ロールプレイで学んだ、反復、間、沈黙を繰り返していくうち、お義母さんの笑い声が少しずつ増えていきました。嬉しい驚きでした。 

 夫や義理のお姉さんは、お義母さんの穏やかさが増えることを考えたり、工夫して、みんなで心を寄せて協力してお義母さんを支えられるようになってきました。  

 

 他にも、子どもの頃からお母さんを支えてきた友だちがいて、もう我慢できなくなったと言います。ロールプレイをやってみたいと言うので、電話で1時間話しました。

 

 友達は、お母さんの嘆きの言葉を感情を込めて話す役。私が聴く役です。途中で友達は号泣しました。その後、お母さんを受け入れることができて、お母さんも、逞しさを見せてくれているそうです。

 

 目の前の人が、解決できない苦しみを抱えていても、穏やかな表情を見せてくれること、微笑んでもらえること。これほど嬉しいことはないと思えることがありがたい。そのような学びと経験でした。

 

 心よりありがとうございました。 

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

コラム一覧へ戻る

TOP