琉球大学医学部医学科
賀数りちさま
(折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)
大学1年の5月、サークルのイベントの一環で『折れない心を育てる いのちの授業』と出会いました。そして、長野宏昭先生との出会いもこのときでした。いのちの授業では、3つのレッスン「苦しみから支えに気づく」「苦しむ人を前にしてわたしにできること」「自分を認め大切にする」に沿いながら、困難や苦しみに直面してもそれらに向き合い、また周囲で苦しみにも恐れず関わっていく方法を考えていきます。支えに気づき、自分を認め、解決できない苦しみを抱えながらも、穏やかに生きていくきっかけをくれる授業です。
そんないのちの授業と私を繋いでくださった長野先生は医師として活躍されていて、現在はいきがい在宅クリニックにて在宅医療をされています。また、ELCの認定ファシリテーターでもあり、沖縄県にて小学生からお年寄りまでたくさんの方にユニバーサルホスピスマインドが届けられています。
初めてのいのちの授業はオンライン形式でしたが、長野先生の優しい語りかけやコンテンツそのものに引き込まれて、あっという間の90分だったことを覚えています。
「苦しみとは希望と現実の開き」「解決できる苦しみと解決できない苦しみ」などのキーワードにより、得体の知れないマイナスの感情がシンプルな言葉に言語化されていき、不思議な感覚と共に胸の中のもやもやが解ける感覚がありました。
その後、大学の講義でも対面でいのちの授業を受ける機会がありました。2回目ということもあり、「支え」や「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい」といった「苦しみ」からさらに少し踏み込んだキーワードについても注目することができました。
「あのときは忙しすぎて毎日辛かったけど、友だちがたくさん話を聞いてくれて助かったな」とか「あのとき言い合いになったのは、苦しみをわかろうとすることより、アドバイスを考えることばかり優先していたからだな」と色んな考えで頭がいっぱいになりました。そういった初回とは違う新しい学びや気づきがあり、「自分自身と向き合い、苦しみと向き合って、自分や周囲の人を大切にしたい」と考え、本格的に継続学習をしたいと長野先生に思いを伝えました。
2回のいのちの授業受講を経て、講師トレーニングも受講することとなりました。認定講師になるまでのトレーニングや模擬授業、その練習の過程も本当に気づきと学びの繰り返しでした。現在も学びの途中です。
認定講師と並行して、大学生主体の学び場をつくる取り組みを始めました。長野先生のご尽力もあり、今年6月からは「ヨリドコロ」として、正式に大学サークルになっています。月2回のペースで「答えのない心の問題」をテーマに問いを立てて、自分の考えに悩みながら、また他の考えを「聴く」ことを大切にしながら活動をしています。ありがたいことに新入生の入部もあり、これからもヨリドコロが「拠り所」らしく、ユニバーサルホスピスマインドを学べる場として広がっていくといいなと思っています。
私の目標は大きく2つあります。「いのちの授業のなかで、苦しみの意味を考えてもらうこと」「ヨリドコロの輪を広げること」の2つです。
まず1つ目について、エンドオブライフ・ケア協会8周年記念シンポジウムにて発表させていただく機会がありました。いのちの授業は「苦しむことの意味」に気づくきっかけをくれたこと、私は苦しんだからこそ支えに気づくことができ、その支えを大切にしながら新たな苦しみに向き合うことができている、だから「苦しんだことは無駄ではないと思う」ということをお話させていただきました。これからはこのメッセージを小中高生始めとして、たくさんの方にお伝えすることが目標です。
2つ目のヨリドコロについて、前に述べた大学サークルをじわじわと大きな輪にしていくこと、そして医学部とどまらずに、将来的にはたくさんの沖縄県の大学生と学び合える場にすることを目標にしています。そして、いのちの授業を伝えてみたいという学生が1人でも増えることにもつながればいいなと思っています。
いのちの授業やELC、また学びを通して出会えた方々に感謝しながら、今後もユニバーサルホスピスマインドを学んでいこうと思います。
《8周年記念シンポジウムでの登壇の様子》
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