コラム114:わたしを一歩前へ進めてくれた、ELCとの出会い

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一般財団法人 脳神経疾患研究所  南東北医療クリニック 訪問リハビリテーション  理学療法士

石川 有華さま

(ELC86回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、折れない心を育てる いのちの授業レベル1認定講師)

ELCとの出会い

 私は、訪問リハビリテーションで理学療法士として働いています。ELCとの出会いは、5年前。余命1ヶ月の癌末期患者さんの担当になったことでした。「余命1ヶ月…。私に何が出来るのだろう」と思い悩み、参考書を探しに書店に行きました。そのときに、小澤先生の『死を前にした人にあなたは何ができますか?』の本を見つけました。読み終えた頃には、心がすーっと晴れて患者さんの気持ちにも耳を傾けて、わかってくれる人になれるかもしれない!と思えたことを、今でも覚えています。


 「さて、本も読んだし、もっと詳しく学びたい!養成講座に申し込みをしよう!」と思っていた矢先に、私は大切な夫を原因不明の突然死で亡くしました。子ども2人(当時、幼稚園年少・小学1年)を抱えて、これからどうやって生きていけばいいのか真っ暗闇に突き落とされた気持ちになり、しばらく休職しました。休職中も小澤先生の本を読み、「解決できない苦しみがあっても、穏やかに過ごせることができる。私も、目の前の患者さんから逃げないで、相手の話をしっかりと聴き、患者さん、ご家族が穏やかに過ごせるように支援することが、今の私にできること。志半ばで先に逝ってしまった夫も、きっと応援してくれているはず。仕事に復帰しよう。」と奮い立たされ、仕事復帰後に初めて受けた研修が、援助者養成基礎講座でした。

 

援助者養成基礎講座を受講してから

 ELCのコミュニケーション技術は、とてもシンプルで分かりやすい手法でした。進行性疾患の患者さんや癌末期の患者さんとの関わりの中で、「なんで私がこんな病気になってしまったの?」「私の病気は治るの?」「どうせ治らないのにリハビリする必要あるの?」と、聞かれることが何度もありました。受講前は、死を前にした人に関わることがとても苦手で、その度に言葉に詰まり、答えに悩み、楽しい話題に変えようと必死でしたが、受講してからは、反復・沈黙・問いかけを意識し、解決困難な苦しみがあっても、患者さん・ご家族が支えになっているのは何かを引き出しながら関わることができるようになりました。受講してから、自分自身の心がとても楽になりました。

 

いのちの授業

 ELCの援助技術は、子育てにも役立ちます。「ELCの考え方、援助の仕方を大人だけではなく子ども達にも伝えていきたい!」その想いで、いのちの授業認定講師に挑戦しました。講師デビューは1度だけですが、少しずつ地域に出向いて、いのちの授業を届けたいと思っています。娘が現在、認定講師に挑戦中です。親子で一緒に学べるのはとても嬉しいですね。

 

これから

 ELCでは、グリーフケアやディグニティセラピーについても学ぶことができます。患者さんの為だけではなく、夫と死別した自分自身のためにも学びを続けています。患者さんとの関わりの中で、ご本人・ご家族の想いを傾聴し、解決困難な苦しみがあっても、支えになっているのは何かを引き出しながら関わり、ACPの一助となるよう、学んだ事を忘れずに支援していきたいと思います。

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。

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