福岡県 薬局薬剤師
渡辺 崇さま
(第154回生)
私には沢山の仲間がいます。一緒に学ぶことができる仲間であり、私の悩みをいつでも心よく聴いてくれる仲間、薬剤師である私を認めてくれ、私に期待をかけてくれる仲間です。エンドオブライフ・ケア協会の援助者養成基礎講座を勧めてくれたのもこの仲間でした。
私はこれまで薬局で、外来業務の傍ら、訪問薬剤師として弱りのある患者さんのご自宅に伺い対応をしてきました。通院ができなくなりご自宅で医療や介護を受けることになった本人、ご家族の役に、私も立ちたい、そんな気持ちで訪問をしていました。医師の処方意図を理解し、多職種の仲間と協働して患者さんが不安なく薬を使うことができるように支援する。私なりに真摯に対応してきたつもりですが、いつもこの関わりでよかったのだろうかと自問する日々を過ごしていました。
冒頭に触れたように養成講座のことは仲間から聞いていましたが、当時は忙しさに感けて、行動に移すことはしませんでした。
あるとき家族が大病を患い、一時喪失状態になりました。当時毎日死ぬことばかりを考えていた本人を前に私はおろおろするばかりで途方に暮れていましたが、エンドオブライフ・ケア認定ファシリテーターである仲間が心配を寄せてくださり、本人の話を聴いてくれました。
時間にしてたった45分間。翌日の本人の声、光が再び灯った姿を見て、聴いてくれる人、わかってくれる人がいることがどんなに本人の援けになるかということを理解しました。
正直講座を受けたから得られるものではなく、相手が穏やかになるための対話には、これからも様々な経験と訓練、継続した学びが必要だと感じました。実際に養成講座を受けた翌日に、当時大きな苦しみを抱えていた患者さんに対して、私はかける言葉、対応を間違えました。そんな私の失敗を聴いてくれて私に言葉をかけてくれる、一緒に考えてくれる仲間が、私にはいます。
3年ほど前に仲間とともに立ち上げた多職種参加型の研修会「満腹学びの会」。お陰様でこれまで10回の開催をすることができました。思いのある、熱のある人たちと意見交換し、一緒に学びあえる場所をつくりたい、(頭や心を)お腹いっぱいにしたいという思いでつくりました。
会の皆さまの協力のお陰もあり、間違いなく私のライフワークの一つ、原動力の一つになっています。
私には昔、大切な友人がいました。大きな病気を抱えながらも今もおそらく懸命に生きている友人です。私は結果的にその友人とはお別れをしました。
その友人に私は沢山の素敵な時間をいただきました。今はもう一緒の時間を過ごすことはないけれど、その友人にまたいつどこで会っても、胸を張って会えるように。そんな自分でありたいと思っています。
小澤先生の想いと同じく、私も自分の周りの人を少しでも笑顔にできるように、そして何より大切な家族を笑顔にできるように、これからも小さな努力を積み重ねていきます。
エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。
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