コラム23: ELC近畿のなりたち~支え合い、高め合える地域を目指して~

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2017.01.30

コラム23: ELC近畿のなりたち~支え合い、高め合える地域を目指して~

ELC近畿研究会
文責:(医)拓海会 大阪北ホームケアクリニック院長 白山宏人さま
(JSP第3期生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター

 私は大阪で在宅医療に従事しております医師です。私自身はこの養成講座の前身であるJSP(人生の最終段階に関わる人材育成プロジェクト)の3期生(平成27年度受講)であります。このコラムでは第2回にも執筆させて頂きました。今回はELC(エンドオブライフ・ケア)近畿研究会のメンバーの一人として文責を取らせて頂きます。コラムの内容はメンバーの意見を集約して執筆させて頂いております。

 近畿においては、大阪府内でエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座がこれまで計4回開催されました。受講者は計284名と伺っています。

・第3回講座 平成27年10月
・第9回講座 平成28年2月
・第12回講座 平成28年5月
・第18回講座 平成28年10月

研究会までの経緯

 私はエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座が大阪で開催されるにあたり、JSPを受講して以来親交のあった、久保田千代美さん(看護師、四条畷看護専門学校、JSP2期生、コラム3参照)、井上明美さん(訪問看護師、つじ訪問看護ステーション、JSP2期生)と一緒にお手伝いをさせて頂きました。

 回を重ねる毎に志を持った仲間も増え、第3回受講の丹後ゆかりさん(訪問看護師、訪問看護ステーションたちばな コラム16参照)と井上龍介さん(薬剤師、タイコー堂薬局 コラム12参照)が加わりました。

 平成28年3月からは、上記メンバーを中心に、ELCフォローアップ研修会を開始しました。養成講座で学んだ知識や関わりを現場で実践し続けるためには、改めて振り返る場が必要ではないか(運転が上手い方でも、免許更新の講習を受けると新たな注意や気づきが出てくるように)、という皆の思いが開催の契機となりました。

 事例提示や事例のまとめ、全体の振り返りの講義等を久保田さんと私、会計や広報、場所の確保(総合メディカルさんのご厚意により無料で会議室をお借りしています)を井上さん、広報や総務を丹後さんが担い運営をしています。以後、8月と12月に開催し、のべ100名を超える養成講座受講者に参加頂き、近畿以外の地域からも参加頂いております。

 その後第9回受講の津野采子さん(ハート介護サービス コラム18参照)もコアメンバーに加わって研修会のお手伝いをして頂いております。

 直近では、第3回フォローアップ研修会を、平成28年12月に開催しました。この時は、小さいお子さんを持つがん患者さんの事例で、約4時間、ロールプレイやワールドカフェ方式を取り入れたグループワーク、そしてディグニティセラピーの追加レクチャーを行いました。困難事例のワークであったため、ほとんどの参加者は苦しいワークとなっていましたが、最後の振り返りで各自の苦しみを参加者皆で共有しました。ELC近畿の研修会ではELCで学んだ基本を遵守しつつ、その中で更に工夫を加え、参加者が地域で何か活用できるような、実践していく後押しになるような内容を、毎回スタッフで相談し追加するようにしています。研修会も参加者も回を重ねるにつれ成熟してきていると実感しています。

 養成講座を受講した方達にFacebookを利用して案内していますが、今後も年3回、大阪での養成講座終了1~2ヶ月後ぐらいを目安に、研修会を計画し、ご案内して参ります。

 ELC近畿研究会の目的・考えを3つ挙げます。

1.自身の実践をふりかえり、新たな気づきを得て、進化させる

 「苦しむ人と向き合う」、「苦しみを共にする」、「苦しみを聴く」ことを改めてワークを通して振り返り 、参加者がブラッシュアップできる場とすること。参加者が現場でのギャップや苦しみを再認識し、参加者それぞれの思いを共有し、自分の現場でどういう私であれば良いのかを見つめ 直す場にすること。この研修会は同じ思いの援助者が集まる場であるため、時に心地よい場となってしまうかもしれません。同じ想いを持つ人達の集団が、同じ方向へ進んで行こうとする時、ともすれば周りが見えなくなってしまうかもしれません。苦しむ方達を支える我々の視点が欠けることのないように絶えず心がけたいと思っています。フォローアップ研修会で振り返り、また現場へ戻ってどう実践するか、現場におけるこれからの自分の在り方や思い(決意)のきっかけ、エネルギーになる時間にもなればと思っております。

2.同士とのつながりを強め、苦しむ人を支えようとする人を支えるための場にする

 研修会でうまく実践できても、現場に戻ると実践できないこともあるかもしれません。きれいごとではない現場でどれだけ、学んだことが通用するのか。そんな問題や悩みが出てきた時にはフォローアップ研修会に参加し、みんなで鋭気を養ない、そしてまた現場に戻っていける。そんな苦しみ人を支える人を支えることのできる場にしたいと考えています。

3.職場や地域に広げていく

 エンドオブライフ・ケアの本質は、ただ単に知識や技術を学ぶものではなく、それを使う人の思想、苦しみの先から見えてくるものを考えるという未知のことを探究することで、それは、患者さんや仲間との対話の中から、今まで気づかなかった新たな自分に気づくことができます。ここで振り返ったこと、学んだことを、自分の学びとするだけではなく、職場に伝えながら、職場の方も参加頂く場合も増えております。実際、現場も少しずつ変化しているという声を頂いております。この研修会を通して、参加された皆さんがファシリテーターとなり地域で研修会を開催して頂けるような支援にしたいと思っています。

 それと同時にエンドオブライフ・ケアの理念や知を多くの人に伝えていくことも必要と考えています。多くの人がエンドオブライフ・ケアを知り、一緒に語り、悩みを共有できるようになることこそが地域の意識を変える第一歩になると思います。地域の現場において多職種で連携していく際にはやはり共通概念(考え方、関わり方)があると関わりの質も違うと思っています。

 

さいごに

 地域の仲間を増やし、お互い支え合い高め合っていけるような地域、苦しむ方に皆で向き合っていける地域を目指したいと思っています。少しずつそういうになっている実感もあり、今後も地域での活動を継続してまいりたいと思います。

エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いいたします。

Theory of Change

セオリー・オブ・チェンジ