コラム76:目的ではなく手段としての国際協力を
2021.06.21
コラム76:目的ではなく手段としての国際協力を
社会貢献メディア"COCOCOLOR EARTH"、横浜市立大学4年
須藤唯さま
今から22年前。僕は生まれた。
それから数年後、白血病になった。
もちろん、今の僕は一切の記憶がない。
小学生の時、母親から当時の様子を伝えられた。
「自分の人生をこれからどうやって使うのか」
12才の僕にこの命題が課せられた。しかし、答えは明確だった。
「他人のために人生を生きたい」
今思えば単純な恩返しの気持ちだったのかもしれない。多くの人が、僕を死なせないために必死になって協力してくれた。 その事実に対して僕はひたすらに感謝をしている。
「他人のため」
本当に誰でも良かった。ただ、あの時目の当たりにしたアフリカにおける貧困という事実が僕の胸に強く突き刺さった。
「この子たちのために人生を使いたい」
そう思ったのが、僕がこの分野で活動を始めた原点だった。 それから、色々な活動をしてきた。 イベントを開催したり、団体を立ち上げたり、アフリカへ渡航したり。そんな経験を経て今僕は、国際協力を日常にしたいと考えている。
今まで多くの国際協力を志す学生に会ってきた。また、実際にそれを仕事にしている人たちのも沢山会ってきた。その中で感じた溝に違和感を感じている。
「国際協力をするために国際協力をしている」
これが僕の感じている違和感だ。正直、国際協力が具体的にどんな活動を指すのか僕には明確な答えがある訳ではない。しかし、僕がこの分野で活動したいと思うのには理由がある。 シンプルに言えば、僕の命を救ってくれた人たちの恩返しとして僕も多く人の命を救いたいし、少しでも不条理や不公平を無くしたいからだ。 しかし、僕が今まで会ってきた学生の多くは目的を見失ってしまっている。
国際協力という言葉だけに囚われて、なぜ自分がそれをやりたいのか分からなくなっている。僕はそれが悪いことだと思っている。
なぜか。
目的がないと、行動に移すことができないからだ。
どんな活動をすれば、自分のイメージする国際協力というものが達成されるのか分からない人が多すぎる。学校の勉強をしたからといって、英語が堪能になったからといって必ずしも自分がやりたい国際協力ができるとは限らない。
その結果、(もちろん全ての原因がそれではないが)国際協力の道で生きている人は極端に少ない。というよりも、それを仕事にすることが難しいと思われるあまりその道を選ぶ人が極端に少なくなってきている。
それは、流石にイケてないと思う。少しでも外に目が向いて誰かの役に立ちたいと思っている人が、その思いを形にできた方がいいんじゃないかと思う。
そのために、僕は国際協力を日常にしようと思う。
簡単に言えば国際協力をもっと身近にしようと思う。
人材育成と情報発信と空間創造の3つから、もっと国際協力を身近にしたい。
想いをカタチに出来る人を増やしていきたいと思う。
※須藤唯さんには、エンドオブライフ・ケア協会の以下イベントにご登壇いただきました。
・6周年シンポジウム『課題解決先進国として、未来の夢をデザインする~人口減少時代に、あなたは何ができますか?~ 』(2021/4/17)
・苦しむ人の力になりたいというキャリア選択~若手と経験者の交流会~(2021/5/28)
<リンク>
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