「苦しむ人の支えになりたい」 看護師を目指したとき、私はこの気持ちをどれくらい強く思っていたのだろう・・・ 「白衣の天使」にただ憧れていたのかもしれません。 自分の原点は何だったのか、なぜ命の現場に立とうと思ったのか・・・答えは出ていませんが、日々の患者さんやご家族とのかかわりの中で、「喜び」や「心地よさ」を感じている自分がいることだけは確信できます。 自己紹介: 北海道根志越町 市立千歳市民病院で生れた私は、初孫の恩恵を存分に受けて、…
「強く、つよく 生きろ」 父は実直で厳しくも、いつもそばで私たちにたくさんの愛情を注いでくれました。 そんな父がこの言葉を残し急逝してから20年が経ちます。何もできなかった申し訳なさと、自分の無力さに後悔の念しかありませんでした。 その後看護師となった私は、苦しんでいる人の力になりたい。 支えになりたい。そんな思いで奔走してきました。 そんな時、エンドオブライフ・ケア協会に出逢ったのです。 苦しんでいる人はわかってくれる人がいるとうれし…
コラム87:カムカムエブリバディ!仲間と学び続けて<いのちの授業>を全国に届けよう!
私は2019年12月に<折れない心を育てるいのちの授業 (以下「いのちの授業」という。)>認定講師になりました。でも講師デビューをしたのは、つい最近の今年1月になってからのことです。 なぜすぐに授業をすることができなかったのか? 一つは翌年からコロナが流行り始めたからでした。特に私が住む東京では感染者が軒並み増え続け、学校では休校が相次ぎ、人が集まることが避けられて<いのちの授業>を伝えるどころではなくなりました。 一方で、コロナ禍が長…
コラム86:「いのちの授業」を伝えている自分自身がいやされていく理由
私は「折れない心を育てる いのちの授業」を、小学生を中心に、たくさんの方にお話しする機会をいただいて、大阪市内、また最近ではオンラインでも活動させていただいております。 エンドオブライフ・ケア協会では、認定をいただいた講師が「折れない心を育てる いのちの授業」をそれぞれの場所で伝えていけるように、年に4回、オンラインで講師トレーニングを開催しています。 先日、その講師トレーニングで、私自身がなぜ講師となったのか、そしてなぜ学び続けている…
コラム84:PTA・いのちの授業コーディネーター・親としての三つの視点から取り組んだこと
私はこれまで、実際に悩む中学の娘と一緒に「折れない心を育てる いのちの授業」を数回受講しました。娘は、何に悩んでいるのかもわからなくなるほどふさぎ込んでいましたが、この授業を受けるたびに、一つ一つ気持ちを伝えてくれるようになりました。 藁にもすがる思いで受けたあの日、娘は、隣にいるのにパソコンの画面にも映るのを嫌がりながら、言葉ではなくショートメールで、「テストでいい点を取りたい。でも取れない」「部活でいい成績を残したい。でも部活を辞め…
「もう年だから。早く迎えにきてほしい。」 「これ以上しんどい思いをしながら生きていても仕方がない。」 病院で働いていると、しばしば耳にする言葉です。 このような言葉を聞いた時、何と言葉を返しますか? 私は理学療法士としてケガや障害を持った患者様に対して身体機能の回復を図り、社会復帰できるよう支援を行っています。その中で障害を受容することができず、辛い気持ちになり、先程のような言葉を吐き出す方達がいます。私はそのような方達に対して、「そっ…
私は公立小学校、中学校、また公設私営の大学で児童・生徒・学生のためにソーシャルワークを行ってきた。元々心理職として教育現場で勤務していたのだが、私の力量が足りず、心理的なサポートのみでは一時的に子どもを笑顔にすることはできるが、子どもを取り巻く環境に根本的な原因がある場合、その環境に戻っていくと彼らの笑顔が消えていってしまうということを何度も経験した。困っている子どもを取り巻く環境には貧困やいじめや虐待等がある。そもそも貧困やいじめや虐…
「大丈夫だよ」 乳がんが見つかったと告げた時の夫の第一声。 「ありがたい言葉…のはず。だけどなんで?何がどう大丈夫なのか教えてよ!って言いたい自分がいる。 でも…私のためを思って言ってくれている言葉だし。 こんなことを思う自分の方が間違ってるのかな?」 心の中で押し問答が始まった。 私のための励ましの言葉。優しい言葉。 なのに、なぜだか違和感しかなかった。 病院で「早期に発見されて運が良かったですね」と言われたときにも、家族に「たいした…
お恥ずかしいながら、当時小学2年生の娘と私は、 本当に仲が悪かった。小さい時から、なぜかすぐにぶつかり合う。本当はとても愛おしい大切な存在なのに。 このぶつかり合いを何とかしたい、どうしたらいいんだろうと悩み、子育てが苦行にしか感じられない時もあった。 こんなことを思ってしまう私は、母親失格ではないか。そんな自分を認めたくなくて、さらけ出せなくて、子育てというものを孤独に感じてしまっていた。普段は看護師として、いつも笑顔で患者さんに心か…
コラム70:~患者と医療従事者が苦しみを理解することによって厳しい医療現場を乗り越えていくかすかな希望~
私は新潟県在住で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症という病気を抱えています。呼吸する力や心臓を動かす力や飲み込む力が弱くなっていく病気です。現在でも平均寿命は30代前半と言われています。入院生活の中で医療従事者が心の声を聞くことが苦手なことを痛感していたので、医療従事者がどうやったら心の声が聞けるのかと思い考え続けていました。 そんな時、小澤先生を知りました。『プロフェッショナル 仕事の流儀』を見た時でした。医療従事者は患者さんにしなく…
それは13年前のこと。エンドオブライフ・ケア協会の設立の“種”をまく小澤先生に、私は出会いました。当時、私は30歳。報道番組のディレクターとして7年目の若手で、新聞や雑誌をめくっては、何か番組で取り上げるべきテーマはないか…と探す日々を送っていました。そんな時に目にしたのが「いのちの授業」をする医師として紹介されていた小澤先生の新聞記事です。私は直感的にぜひその授業のお話を聞いてみたい、と思ったのでした。 連絡を取るとすぐに会ってくださ…
コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び
コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び 清藤クリニック クリニックマネージャー 野尻明子さま (ELC第5回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 現在、私は作業療法士(OT)として、クリニックの他にも、特別養護老人ホーム、刑務所(高齢受刑者への健康運動指導)などで働いています。作業療法は、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業(生活行為)に困難が生じてい…
2015年7月に第1回のエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催しました。あれからもうすぐ5年を迎えます。一貫してこだわってきたことは、難しい専門用語ではなく、多くの人がわかる言葉で、何をしたら良いか、伝えることでした。 事例紹介 42歳女性のAさん。末期癌と診断され、担当医よりあと2-3ヶ月と伝えられました。すでに積極的な治療は困難な状況です。Aさんは、自宅で家族と過ごしたい希望があります。ご主人と9歳、7歳の娘さん、息子さん達…
2月頃から続いていたコロナ騒動も、さすがに4ヶ月も経つと、新しい日常に変わりつつあります。この数年、毎週末は各地方で人材育成活動をしてきましたが、2月からは自粛しなくてはいけませんでした。 しかし、立ち止まるわけにはいきません。今まで以上に、それぞれの地域で苦しむ人は増えています。この3ヶ月で地域経済は壊滅的な打撃を受けました。地域医療においても外来受診も自粛され、経済的医療崩壊の危機も叫ばれています。 今回の災害の特徴は、すべての人が…
今から20年前に書いたコラムを紹介します。前任のホスピス病棟で出会った患者さんから学んだことです。 「医療は治すことが目的でしょう。だから治すことができない患者は、医療の対象ではないと思うのです。あきらめるしかないのでしょうね。」 鍛冶屋の職人として生きてきたその人は、本当の病名を告げられたとき、そのように感じたと話していました。やがて、ホスピスを紹介され、相談外来を受診後、しばらくしてホスピスに入院することになりました。そして、入院生…
6月になりました。緊急事態宣言も解除され、徐々に人々が街にでかけるようになりました。とはいえ、いつ第2波がくるかわかりません。以前のような集合研修を安心して開催できる状況ではありません。 それでも苦しむ人の力になりたい人のために学びの機会を提供していきたいとの思いは、以前にもまして強くなっています。オンラインという制限はありますが、小人数にファシリテーターを配置することで、質の高いオンライン研修ができないかと考えています。 そこで、6月…
つい半年前の常識が、まったく通じない世の中になりました。本当であれば、今頃はオリンピック・パラリンピック開催にむけて、世界の人達が日本に来る準備で慌ただしかったことでしょう。海外からの旅行客が日本の経済を押し上げる夢も、あっという間に消えてしまいました。 いつも心に留めることは、時時代の2歩3歩先を読み、1歩先の行動を起こすことです。 普通に考えれば、オンラインでのサービス拡充で、リモートワークが広がり、働き方そのものも変わることが予想…
意思決定支援での課題の1つは、どちらを選んでも後悔することです。 心不全の悪化を認め、息苦しさを訴えている義母のこれからの療養について、このまま施設でできるかぎりの治療を行うのか、それとも入院して治療を行うのかを判断しなくてはいけない場面があります。 もし、入院したら、認知症のある義母は必ず点滴を抜こうとするので、手足だけではなく、体もベッドに縛られてしまう。トイレに1人で行こうとして、大きな声を出すので、家族が付き添わないといけないこ…
新型コロナウイルスに感染すると、その重症度によってホテルでの隔離か、病院へ入院して治療をうけるか、療養場所が変わります。 共通することは、自由に外に出られないことです。 もし皆さんが、何かしらの理由で自由に部屋の外に出られない状況に陥ったら、どんな思いになるでしょうか?散歩することも、集まってわいわいしながら食事をすることもできません。 1日や2日だけであれば何とか我慢もできるかもしれません。それが2週間となれば、精神的には、かなりの負…
キャンサーペアレンツの西口洋平さんが5月8日に旅立たれました。35歳でステージ4のがんと診断される中、つながることで前向きに、声なき声を届け、生きやすい社会を実現したいと考え、キャンサーペアレンツを立ち上げました。2016年に、社会起業塾に応募されたとき、私もエンドオブライフ・ケア協会のメンバーとして同じ会場、同じテーブルで、お互いの夢を語り合っていました。 あれから4年、キャンサーペアレンツは3600人を越える登録者へと発展し、西口さ…
どんなに泣いても、時間は過去に戻りません。 どれほどお金を出しても、一度失った人は返ってきません。 いつも大きな苦しみや悲しみを抱えた人と関わり続けて来ました。その中でのこだわりは、従来の固定観念を壊すことでした。 私たちは、苦しみから避けるように生きています。なるべく苦しい道を避け、平易な道を選ぶことは、多くの人が考える事です。平時であれば、平易な道を選ぶことは難しくありません。 しかし、いったん有事となれば、状況は一変します。どれほ…
緊急事態宣言が延長され、仕事を再開できず、経済への影響が心配されています。特に家賃や学費など、支払うことができていた人達が、今までのあたりまえを維持できるかぎりぎりの状況となっています。政府も必死に救済の手を差しのばそうとしていますが、届くまでには時間もかかります。 恐れていることは、人は苦しいとき、誰かを傷つけ、自らを傷つけることです。 この考えは、決して新しくはありません。私が2000年の頃より、ホスピスから学ぶいのちの授業として、…
<固定観念を打ち壊そう!コロナ危機の中でも、人は笑顔になれる>
新型コロナウイルス感染拡大は、私たちの社会を一変しました。医療のみならず経済にも大きく影響を与えています。苦しむのは、新型コロナウイルスに感染した人だけではありません。あたりまえの生活を奪われた多くの人達が苦しんでいます。コロナ危機の中で、人は果たして笑顔になれるのでしょうか? 心が折れそうになっても最後まで読んでみてください。 #コロナ4Cチャレンジ コロナ危機をみんなで乗り越えよう コロナ危機の中でも、人は笑顔になれる 私は、そんな…
新型コロナウイルス感染拡大は、社会で暮らす多くの人に暗い影を落としています。外出を自粛することによる体力低下だけではなく、心の面でも不安定となり、眠れない、食欲が出ない、疲れやすいなどの症状を自覚する人が増えていくことを案じます。そして、苦しみのあまり、誰かを批判したり、自らを傷つけようとしたりする人が増えてくるからです。 いのちを守るために医療崩壊を防ぐことは大切です。感染拡大を防ぐため、人との接触を減らす動きは、これからさらに数ヶ月…
コラム66:地域医療は『くらしの医療』 医療法人希実会 守口医院 守口尚さま (ELC第68回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) ・地域医療は『くらしの医療』 僕が岩手県遠野市で在宅医療を始めたのは2004年のことでした。その年の11月、京都のわらじ医者、早川一光先生と出会います。この出会いがなければ現在の僕はありません。 早川先生から初めに教わったのは「地域医療は『くらしの医療』」でした。あるとき、悪性…
前回、私はアリとキリギリスの話を紹介しました。少しだけ補足をさせてください。 一般的にイソップのアリとキリギリスの逸話は、「働かざる者食うべからず」という教訓として紹介されます。働いていたアリに対して、遊んでいたキリギリスが、やがて冬になって食糧難になって困る話です。ですから、「備えあれば憂いなし」という教訓としても学ぶことができます。 ただ、現実は厳しい世の中です。働きたいのに働けない社会です。働いているのに、認めてもらえない世の中で…
ゴールデンウィークによる人の移動を抑制し、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、政府は緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大しました。すでにこの1ヶ月近く自粛を強いられてきた人達は、終わりが見えない今の状況を憂えてどんな気持ちになるのでしょうか。 いったいいつまで続くのだろう 毎年楽しみにしていたGWの家族旅行に行けない 仕事にも行けない 勉強もしたくない もう何もしたくない かなわぬ思いが続くと、できないことがあっても気にしないようにし…
新型コロナウイルス感染拡大が本格的になってきました。目に見えない敵と向き合うということは、精神的なストレスは、数倍増します。普段の生活の中で、自分が感染するのではないか、あるいは、自分が他の人にうつしてしまうのではないか。何気ない生活にあって、最善を尽くしても、決して100点を取れるとは限りません。 たとえ最善の医療を施したとしても、重症化した肺炎の患者さんをすべて救命できるとは限りません。どれほど感染予防に留意したとしても、発熱もなく…
新学期が始まりましたが、首都圏の学校を中心に、全国で休校が続いています。さらには、外出制限などから、自由に外で友達と遊ぶことができません。いろいろなフラストレーションがたまると、兄弟げんかや、家庭内での暴力など、不安定になる子どもたちもいることでしょう。あるいは、親御さんが、仕事の不安などから、子どもに大きな声を出してしまう人もいるでしょう。 新型コロナウイルス感染は、さまざまな形で生活に深刻な影響を与え続けています。 いつまで待てば良…
いよいよアメリカでは、厳しい選択をしなくてはいけない時を迎えました。感染爆発(オーバーシュート)して本格的に患者さん数が増えてきます。さらに多くの重症患者さんが病院に搬送されることが予想されています。限られた医療資源、とくに人工呼吸器による治療は、希望者すべてに行き届くとは限りません。トリアージとして、誰に優先的に治療を提供するのか、きわめて重たい意思決定を行わなくてはいけません。そして、きわめて多くの人が亡くなることが予想されています…
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