コラム140:いのちについての学習を行うための器つくり:1998年から2006年までの歩み
~前書き~ 小松良子先生は、小学校の養護教諭として学校現場でご活躍される中で、同僚の先生方、子どもたちと『いのちについての学習』に取り組んでこられました。エンドオブライフ・ケア協会の『折れない心を育てる いのちの授業』プロジェクトが立ち上がる際にも多くの示唆をくださいました。「授業で学んだことを生活の中で行動したり、できたことを認め合ったりするためには、学級で、学校で、地域での器の存在が必要」とおっしゃる、小松先生の長年の教育実践から学…
1. ELCとの出会い 私が初めて学習会に参加したのは、2019年の夏、長崎県で当時から活動していたELC(エンドオブライフ・ケア)波佐見による学習会でした。 基礎職が福祉職の私は、もともと看取りに苦手意識があり、「自分の知識でわからないことを質問されたらなんて答えよう」「間違ったこと回答して医療職から怒られたらどうしよう」そんな風に思っていました。 市内の地域包括支援センターに勤務している一ノ瀬さんからの誘いもあり、ELC波佐見の学習…
今から22年前。僕は生まれた。 それから数年後、白血病になった。 もちろん、今の僕は一切の記憶がない。 小学生の時、母親から当時の様子を伝えられた。 「自分の人生をこれからどうやって使うのか」 12才の僕にこの命題が課せられた。 しかし、答えは明確だった。 「他人のために人生を生きたい」 今思えば単純な恩返しの気持ちだったのかもしれない。多くの人が、僕を死なせないために必死になって協力してくれた。 その事実に対して僕はひたすらに感謝をし…
コラム70:~患者と医療従事者が苦しみを理解することによって厳しい医療現場を乗り越えていくかすかな希望~
私は新潟県在住で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー症という病気を抱えています。呼吸する力や心臓を動かす力や飲み込む力が弱くなっていく病気です。現在でも平均寿命は30代前半と言われています。入院生活の中で医療従事者が心の声を聞くことが苦手なことを痛感していたので、医療従事者がどうやったら心の声が聞けるのかと思い考え続けていました。 そんな時、小澤先生を知りました。『プロフェッショナル 仕事の流儀』を見た時でした。医療従事者は患者さんにしなく…
コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び
コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び 清藤クリニック クリニックマネージャー 野尻明子さま (ELC第5回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 現在、私は作業療法士(OT)として、クリニックの他にも、特別養護老人ホーム、刑務所(高齢受刑者への健康運動指導)などで働いています。作業療法は、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業(生活行為)に困難が生じてい…
2月頃から続いていたコロナ騒動も、さすがに4ヶ月も経つと、新しい日常に変わりつつあります。この数年、毎週末は各地方で人材育成活動をしてきましたが、2月からは自粛しなくてはいけませんでした。 しかし、立ち止まるわけにはいきません。今まで以上に、それぞれの地域で苦しむ人は増えています。この3ヶ月で地域経済は壊滅的な打撃を受けました。地域医療においても外来受診も自粛され、経済的医療崩壊の危機も叫ばれています。 今回の災害の特徴は、すべての人が…
6月になりました。緊急事態宣言も解除され、徐々に人々が街にでかけるようになりました。とはいえ、いつ第2波がくるかわかりません。以前のような集合研修を安心して開催できる状況ではありません。 それでも苦しむ人の力になりたい人のために学びの機会を提供していきたいとの思いは、以前にもまして強くなっています。オンラインという制限はありますが、小人数にファシリテーターを配置することで、質の高いオンライン研修ができないかと考えています。 そこで、6月…
つい半年前の常識が、まったく通じない世の中になりました。本当であれば、今頃はオリンピック・パラリンピック開催にむけて、世界の人達が日本に来る準備で慌ただしかったことでしょう。海外からの旅行客が日本の経済を押し上げる夢も、あっという間に消えてしまいました。 いつも心に留めることは、時時代の2歩3歩先を読み、1歩先の行動を起こすことです。 普通に考えれば、オンラインでのサービス拡充で、リモートワークが広がり、働き方そのものも変わることが予想…
なぜ大切な人を失うと悲しくなるのでしょう? まもなくお迎えが近くなり、意識も薄れていく中で、私たちは本人と家族にどのように声をかけるとよいでしょうか? このような問いに、簡潔に答えることができるでしょうか? 私がこだわってきたことは、一部のエキスパートだけが行える援助ではなく、関わろうとする全ての人が実践できるための援助です。そのために、多くの人にわかる言葉で、まねしやすく、魅力的である援助の方法でありたいと考えてきました。 大切だから…
副島先生との出会いは、もう何年になるのでしょうか。テレビドラマの主役になるような雲の上の人でした。ある医療とメディアとの学習会の懇親会の席で、サシでお酒を飲みながら話を伺ったときに感じたことは、その熱量は、半端ない(他人のことを言える立場ではないのですが…)ということでした。 これほど苦しんでいる誰かのことを思い、全身全霊をかけて取り組もうとしていて、その仕事に誇りを持ち、何より笑顔を大切にしている…。その懇親会の時に肌で感じた副島先生…
キャンサーペアレンツの西口洋平さんが5月8日に旅立たれました。35歳でステージ4のがんと診断される中、つながることで前向きに、声なき声を届け、生きやすい社会を実現したいと考え、キャンサーペアレンツを立ち上げました。2016年に、社会起業塾に応募されたとき、私もエンドオブライフ・ケア協会のメンバーとして同じ会場、同じテーブルで、お互いの夢を語り合っていました。 あれから4年、キャンサーペアレンツは3600人を越える登録者へと発展し、西口さ…
新型コロナウイルス感染拡大で苦しんでいる人が笑顔になれるように!とのスローガンに反対する人は、ほとんどいません。しかし、実際に何をしたら良いか、具体的に言葉にできる人は多くはありません。その壁を越えていきたいと思います。 これだけ地域に苦しむ人が増えていくということは、一方で、苦しむ人の力になりたい人も増えていくと考えるのが自然です。ですから、力になりたい人に、何をすると力になれるのかについて、総論ではなく、各論として具体的な行動がとれ…
<たとえ1滴の水でも、合わされば大河となって、時代を変える力となる>
1人の力はとても小さいかもしれません。しかし、その1つ1つが合わさっていくと大きくなります。その思いを信じて、5年前からこつこつ、小さな力を各地で育てて行く活動を続けてきました。その行動を形にするため、セオリー・オブ・チェンジ・ジャパン(ToCジャパン)の田辺さんにご尽力を頂き、エンドオブライフ・ケア協会のセオリー・オブ・チェンジを作成しました。その内容を日本医療デザインセンターの桑畑さんに動画にまとめていただきました。(動画は、コメン…
今から6年前、クリニックで企画した研修が、今のELCの活動のきっかけになりました。 あれから6年、世の中は新型コロナウイルスのために大変なことになりました。でも、この時のために活動してきたように感じます。1日1日を大切に、必要としている人に届きますように。 小澤 竹俊
緊急事態宣言が延長され、仕事を再開できず、経済への影響が心配されています。特に家賃や学費など、支払うことができていた人達が、今までのあたりまえを維持できるかぎりぎりの状況となっています。政府も必死に救済の手を差しのばそうとしていますが、届くまでには時間もかかります。 恐れていることは、人は苦しいとき、誰かを傷つけ、自らを傷つけることです。 この考えは、決して新しくはありません。私が2000年の頃より、ホスピスから学ぶいのちの授業として、…
ゴールデンウィークが開けました。今日から仕事を再開される方も増えていくことでしょう。緊急事態宣言は、続いていますが、社会的な距離を取りながら、徐々に一部の生活は戻りつつあることを願っています。 しかし、新型コロナウイルス感染の影響は色濃く残っています。とても笑顔なんてなれるはずがないと思う人もいるでしょう。 私は、ホスピス・緩和ケアの世界で仕事をしてきました。今まであたりまえにできていた1つ1つができなくなっていく苦しみを抱えた人への援…
ホスピス・緩和ケアで永年仕事をしてきた中で、大切にしていることがあります。それは、自分にしかできない専門的な援助ではなく、少しの勇気と、相手を思う気持ちさえあれば、多くの人が行うことができる援助を伝えて行きたいということでした。 そのように考えた理由は、きわめて簡単です。私が関わることができるのは、本当にごくわずかな人にすぎないということです。どれほど力になりたいと願っても、せいぜい一年間に主治医として関わることができるのは100名前後…
新型コロナウイルス感染拡大は、社会で暮らす多くの人に暗い影を落としています。外出を自粛することによる体力低下だけではなく、心の面でも不安定となり、眠れない、食欲が出ない、疲れやすいなどの症状を自覚する人が増えていくことを案じます。そして、苦しみのあまり、誰かを批判したり、自らを傷つけようとしたりする人が増えてくるからです。 いのちを守るために医療崩壊を防ぐことは大切です。感染拡大を防ぐため、人との接触を減らす動きは、これからさらに数ヶ月…
何事も経験は大切です。はじめからうまくいく人はほとんどいません。料理を作ることも、楽器を演奏することも、人前で話をすることも、最初は失敗することが多々あります。うまくいかなくて、取り組んだことを止めてしまう人もいるでしょう。それでも根気よく続けていくと、だんだんと上達していきます。 医療のように専門性の高い職種も同じです。採血や点滴などの血管確保の技術、内視鏡や超音波検査などの技術も経験とともに磨かれていきます。やがて1つ1つの経験は、…
どのような境遇にあったとしても、私たちは現場で学び続ける事ができます。学ぶことは、何も学校に行き、教科書を読み、先生の話をノートに書くことだけではありません。社会人になっても、それぞれの現場で何かに気づき、学びを深めていくヒントは溢れています。 私は人を相手に仕事をしてきました。さまざまな困難や苦しみを抱えていた人が、笑顔にあり、気持ちが穏やかになるために求められる知識や技術や態度は、きわめて多岐にわたります。 これ以上の積極的な治療が…
<もしもコロナに 逢えずにいたら、普通の暮らし してたでしょうか>
もしコロナに逢えずにいたら、今日はエンドオブライフ・ケア協会5周年シンポジウムを品川区きゅりあんで開催予定でした。田中ウルヴェ京さんの講演や、折れない心を育てるいのちの授業プロジェクトなどの活動報告などを予定しておりました。そして4月末には飛騨高山でのインハウス研修、さらには徳島、山口でのインハウス研修が5月に予定されていました。 新型コロナウイルス感染拡大のため、すべての企画は中止となりました。 このまま、時の流れに身を任せたくはあり…
今まであたりまえにできていた外出や、友達を一緒に食事をすることや、映画を観たりすることができなくなりました。生活のために働き稼ぐことすら自由にできなくなりました。 地域で苦しむ人が増えていきます。そして、苦しみのあまり、誰かを傷つけたり、自らを傷つけたりする人もいることでしょう。 もし、目の前に苦しむ人がいたら、私たちは何ができるのでしょう。 医学的な専門知識が必要なのでしょうか。介護に関する技術を身につけていないといけないのでしょうか…
めぐみ在宅クリニックを開業して半年後の2007年4月から継続して、院外向けに、めぐみ在宅クリニック地域緩和ケア研究会を毎月開催してきました(第3火曜日夜)。今まで休会になったのは3回(台風直撃が2回、そして声帯ポリープ切除後に発声できなかった時)です。しかし、2020年3月からは、新型コロナウイルス感染拡大をうけ、自粛せざるを得ませんでした。 新型コロナ・ショックの影響により、医療現場は混乱し、経済は麻痺し、多くの市民が不条理とも言える…
新型コロナ感染拡大に伴い、集まって学ぶ機会が制限されました。一方で、仕事を失い、行動の自由が奪われ、さまざまな苦しみを抱える人は増え続けています。この困難な状況の中でも、苦しむ人の力になりたい人は必ずいます。その志を持った人達が、職種を越えて学び、つながれる場の1つを提供したいと企画しました。 苦しみは、大きく2つに分けます。解決ができる苦しみと、解決が難しい苦しみです。さまざまな技術の発達で、従来の苦しみのいくつかは、解決できる時代と…
いよいよアメリカでは、厳しい選択をしなくてはいけない時を迎えました。感染爆発(オーバーシュート)して本格的に患者さん数が増えてきます。さらに多くの重症患者さんが病院に搬送されることが予想されています。限られた医療資源、とくに人工呼吸器による治療は、希望者すべてに行き届くとは限りません。トリアージとして、誰に優先的に治療を提供するのか、きわめて重たい意思決定を行わなくてはいけません。そして、きわめて多くの人が亡くなることが予想されています…
新年度を迎えました。確実な将来が見えない中、新しい一歩を踏み出すことになります。そのような中にあって皆さまにエールを送りたい思いも含めて、インタビュー動画を紹介いたします。 「医療 x デザイン」をミッションとして掲げている桑畑さんが、日本医療デザインセンターを立ち上げ、さまざまな活動を展開されております。今回は、その一つとして、お越し頂きました。 もし、よろしければYouTubeで「 日本医療デザインセンター 」を検索して頂きますと、…
新型コロナウイルスは、私たちの日常を一変しました。今までのあたりまえの生活が、あたりまえではなくなりました。映画を観ることも、友達と会うことも、集まって学ぶことすら許されない非日常です。春から仕事に就く予定であった学生が、内定取り消しの一報をうけて途方に暮れる人もいます。 では、ここで1つの問いをだします。この中で、果たして誰が一番苦しいのでしょうか? 1.内定取り消しの学生 2.オリンピック開催の準備をしてきた人 3.大好きなグループ…
新型コロナウイルス対策のため、さまざまな自由が制限されています。生きていくために必要な仕事ですら自由に行えず、途方にくれる人も少なくありません。これからどうなっていくのか、先が見えない不安のため、心身共に疲労している人も多いことでしょう。 新型コロナ・ショックで麻痺している社会に私たちができることを提案していきたいと思います。いのちが限られる理不尽で不条理な苦しみを抱えた人への援助を学び、関わる担い手を増やす活動をしてきました。その対人…
新型コロナウイルス感染は、いよいよ全世界に広がりをみせ、現場は混乱しています。外出禁止令が発令され、自由に集まることができません。人の往来が自由にできなくなりました。今まであたりまえであった風景が一変し、まさに非日常に世界であり、これは有事です。 そのような中、今できることは何かと問いながら、いくつかまとまって原稿を書いています。(山にはこもっていませんが…)しばらく投稿を控えておりましたが、ちょっとだけ近況報告です。 一般的ですが、苦…
コラム64:苦しみの中から支えに気づく文化 皆が穏やかに暮らせる世の中を作るために (2)
コラム64:苦しみの中から支えに気づく文化 皆が穏やかに暮らせる世の中を作るために(2) 沖縄県立中部病院 呼吸器内科/地域ケア科 長野宏昭さま (第1回ELCin沖縄受講生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) ※前半はこちらからお読みください( https://endoflifecare.or.jp/column/20200127-1 ) ・若手医師の育成 私の働いている沖縄県立中部病院は初期臨床研修のメッ…
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