コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び
コラム67:私の作業療法実践を支えるエンドオブライフ・ケアの学び 清藤クリニック クリニックマネージャー 野尻明子さま (ELC第5回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 現在、私は作業療法士(OT)として、クリニックの他にも、特別養護…
<死を前にした人にあなたは何ができますか?>
2015年7月に第1回のエンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を開催しました。あれからもうすぐ5年を迎えます。一貫してこだわってきたことは、難しい専門用語ではなく、多くの人がわかる言葉で、何をしたら良いか、伝えることでした。 事例紹介 42歳女性のAさん。末期癌と診断され、担当医よりあ…
<始動します>
2月頃から続いていたコロナ騒動も、さすがに4ヶ月も経つと、新しい日常に変わりつつあります。この数年、毎週末は各地方で人材育成活動をしてきましたが、2月からは自粛しなくてはいけませんでした。 しかし、立ち止まるわけにはいきません。今まで以上に、それぞれの地域で苦しむ人は増えています。この3ヶ…
<20年前から変わらないこと>
今から20年前に書いたコラムを紹介します。前任のホスピス病棟で出会った患者さんから学んだことです。 「医療は治すことが目的でしょう。だから治すことができない患者は、医療の対象ではないと思うのです。あきらめるしかないのでしょうね。」 鍛冶屋の職人として生きてきたその人は、本当の病名を…
<学びの機会を広げるためにオンラインでできることを>
6月になりました。緊急事態宣言も解除され、徐々に人々が街にでかけるようになりました。とはいえ、いつ第2波がくるかわかりません。以前のような集合研修を安心して開催できる状況ではありません。 それでも苦しむ人の力になりたい人のために学びの機会を提供していきたいとの思いは、以前にもまして強くなっ…
<時代の2歩3歩先を読み、1歩先の行動を起こすこと>
つい半年前の常識が、まったく通じない世の中になりました。本当であれば、今頃はオリンピック・パラリンピック開催にむけて、世界の人達が日本に来る準備で慌ただしかったことでしょう。海外からの旅行客が日本の経済を押し上げる夢も、あっという間に消えてしまいました。 いつも心に留めることは、時時代の2…
<どちらを選んでも後悔するジレンマが課題です>
意思決定支援での課題の1つは、どちらを選んでも後悔することです。 心不全の悪化を認め、息苦しさを訴えている義母のこれからの療養について、このまま施設でできるかぎりの治療を行うのか、それとも入院して治療を行うのかを判断しなくてはいけない場面があります。 もし、入院したら、認知症のある義…
<愛の反対は 無関心です>
新型コロナウイルスに感染すると、その重症度によってホテルでの隔離か、病院へ入院して治療をうけるか、療養場所が変わります。 共通することは、自由に外に出られないことです。 もし皆さんが、何かしらの理由で自由に部屋の外に出られない状況に陥ったら、どんな思いになるでしょうか?散歩するこ…
<今 私が笑えるのは 一緒に泣いてくれたキミがいたから>
キャンサーペアレンツの西口洋平さんが5月8日に旅立たれました。35歳でステージ4のがんと診断される中、つながることで前向きに、声なき声を届け、生きやすい社会を実現したいと考え、キャンサーペアレンツを立ち上げました。2016年に、社会起業塾に応募されたとき、私もエンドオブライフ・ケア協会のメンバーと…
<固定観念をぶち壊そう>
どんなに泣いても、時間は過去に戻りません。 どれほどお金を出しても、一度失った人は返ってきません。 いつも大きな苦しみや悲しみを抱えた人と関わり続けて来ました。その中でのこだわりは、従来の固定観念を壊すことでした。 私たちは、苦しみから避けるように生きています。なるべく苦しい道を避け、平易…
<相手からみて心を開いてくれる私たちでいるでしょうか?>
緊急事態宣言が延長され、仕事を再開できず、経済への影響が心配されています。特に家賃や学費など、支払うことができていた人達が、今までのあたりまえを維持できるかぎりぎりの状況となっています。政府も必死に救済の手を差しのばそうとしていますが、届くまでには時間もかかります。 恐れていることは、人は…
<固定観念を打ち壊そう!コロナ危機の中でも、人は笑顔になれる>
新型コロナウイルス感染拡大は、私たちの社会を一変しました。医療のみならず経済にも大きく影響を与えています。苦しむのは、新型コロナウイルスに感染した人だけではありません。あたりまえの生活を奪われた多くの人達が苦しんでいます。コロナ危機の中で、人は果たして笑顔になれるのでしょうか? 心が折れそ…
<私には夢があります>
新型コロナウイルス感染拡大は、社会で暮らす多くの人に暗い影を落としています。外出を自粛することによる体力低下だけではなく、心の面でも不安定となり、眠れない、食欲が出ない、疲れやすいなどの症状を自覚する人が増えていくことを案じます。そして、苦しみのあまり、誰かを批判したり、自らを傷つけようとしたりす…
コラム66:地域医療は『くらしの医療』
コラム66:地域医療は『くらしの医療』 医療法人希実会 守口医院 守口尚さま (ELC第68回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) ・地域医療は『くらしの医療』 僕が岩手県遠野市で在宅医療を始めたのは2004年のことでした。その年の11月、京都…
<苦しむ人の力になろうとする全ての人へ>
前回、私はアリとキリギリスの話を紹介しました。少しだけ補足をさせてください。 一般的にイソップのアリとキリギリスの逸話は、「働かざる者食うべからず」という教訓として紹介されます。働いていたアリに対して、遊んでいたキリギリスが、やがて冬になって食糧難になって困る話です。ですから、「…
<絶望に慣れることは、絶望そのものよりも悪い>
ゴールデンウィークによる人の移動を抑制し、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、政府は緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大しました。すでにこの1ヶ月近く自粛を強いられてきた人達は、終わりが見えない今の状況を憂えてどんな気持ちになるのでしょうか。 いったいいつまで続くのだろう …
<目に見えない伴走者に気づいていますか?>
新型コロナウイルス感染拡大が本格的になってきました。目に見えない敵と向き合うということは、精神的なストレスは、数倍増します。普段の生活の中で、自分が感染するのではないか、あるいは、自分が他の人にうつしてしまうのではないか。何気ない生活にあって、最善を尽くしても、決して100点を取れるとは限りません…
苦しみを素直に打ち明けられる誰かはいますか?
新学期が始まりましたが、首都圏の学校を中心に、全国で休校が続いています。さらには、外出制限などから、自由に外で友達と遊ぶことができません。いろいろなフラストレーションがたまると、兄弟げんかや、家庭内での暴力など、不安定になる子どもたちもいることでしょう。あるいは、親御さんが、仕事の不安などから、子…
<意思決定 決めた内容 誰がする>
いよいよアメリカでは、厳しい選択をしなくてはいけない時を迎えました。感染爆発(オーバーシュート)して本格的に患者さん数が増えてきます。さらに多くの重症患者さんが病院に搬送されることが予想されています。限られた医療資源、とくに人工呼吸器による治療は、希望者すべてに行き届くとは限りません。トリアージと…
<傷つけるのは苦しいから>
新型コロナウイルスは、私たちの日常を一変しました。今までのあたりまえの生活が、あたりまえではなくなりました。映画を観ることも、友達と会うことも、集まって学ぶことすら許されない非日常です。春から仕事に就く予定であった学生が、内定取り消しの一報をうけて途方に暮れる人もいます。 では、ここで1つ…
<防災タイムラインの必要性: なぜコロナと巡り会うのか、私たちは何も知らない いつコロナと巡り会うのか、私たちはいつも知らない>
新型コロナウイルス感染は、いよいよ医療・介護施設での集団感染のステージに入ってきました。病院や介護施設は、脆弱な高齢者や重症化しやすい基礎疾患を持った人が集まる場所であるため、ここでクラスター形成は、健常な人達が集まる会場でのクラスター形成とはニュースの意味が異なります。 今は人混みをさけ…
<目と目で通じ合う そういう仲になりたいわ>
新型コロナウイルス感染を防ぎ、クラスター予防のため、週末の外出が自粛することが求められています。自由に集まり、誰かと会うことができなくなりました。楽しみにしていた映画にも行けず、好きな人とお気に入りのレストランで食事をすることも自粛しないといけません。まるで会うことを禁じられたロミオとジュリエット…
コラム65:「折れない心を育てる いのちの授業」の源流から
コラム65:「折れない心を育てる いのちの授業」の源流から 浄土真宗本願寺派 走井山善西寺 住職 矢田俊量さま (ELC第6回生) ここは三重県のとある小学校。創立百二十周年記念の講演会。会場の体育館には、幼稚園児、小学生児童、教職員、保護者があつまり、熱心に講演に聞き入…
不条理な今を生きていくこと その9:苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい
本来であれば春が近づき、桜の開花がいつになるのか話題になるこの時期ですが、今年は新型コロナウイルス感染のニュースで、先行きが見えない状態となりました。まさにVUCAな時代そのものです。 不条理な世の中にあって、いろいろなことを決めていく難しさ、特に決断する人は、その責任を負うこと…
不条理な今を生きていくこと その6:なぜ人は大切な誰かと会えなくなると悲しくなるの?
突然の休校の指示により、多くの学校では春休みが前倒しになりました。卒業を迎える学年では、準備もなくクラスの友達とお別れをすることになります。また多くの介護施設では、新型コロナウイルス感染予防の観点から、面会ができなくなりました。毎週のように面会に来ていた家族にとって、会えなくなることは、生活の一部…
コラム61:私の宝 ―『聴く』と『支え』
さがらパース通りクリニック 医師 小齊平 智久さま (ELC第39回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 【私が医師になるまで】 私は生まれつき体の弱い子供でした。発熱が毎日のように続き、鹿児島大学病院で精密検査した結果、先天性心疾患(ファロー四…
コラム60:いのちの授業と私
訪問看護ステーションきりん 管理者 訪問看護師 中村マサ子さま (ELC第39回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 現在高校三年生の娘は、中学時代、教室に入れなくなり、特別室で過ごしていました。「お母さん、教室に入ろうとしたら具合が悪くなって体が震えて、…
コラム59:もう見て見ぬふりはしない・もう眼をそむけない、全国に広めようELC連帯の輪!
日本のてっぺん最北端の街 稚内市 道北勤医協 宗谷医院 指定居宅介護支援事業所 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・主任介護支援専門員 石山武浩さま (ELC第53回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 私は、いつも周りから「困っている…
コラム54:自分のことを大事だと思えるように
「私って必要ないのかな。」 私がよく感じた思いです。幼少期から自信がない子だったような気がします。決して家族から愛されていなかったわけでも、友達がいなかったわけでもありません。自信がなくなるきっかけは引っ越しでした。 私が幼稚園年中の時、親が祖父母との同居を決めました。小さい…
コラム52:薬剤師が必要とされる専門職となるために
株式会社タイコー堂薬局本店 専務取締役 薬剤師 井上龍介さま (ELC第3回生、認定エンドオブライフ・ケア援助士、認定ELCファシリテーター) 2018年12月の医薬品医療機器制度部会にて、「患者にとって質の高い医療を、全国どこでも同様に、負担を少なく提供する」ことが法改正の検討項目とな…
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